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2022.6.17

首位の佐藤心結 29で得たゾーンの神髄

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 JLPGAツアー2022シーズン第16戦『ニチレイレディス』(賞金総額1億円、優勝賞金1800万円)が6月17日、千葉県千葉市・袖ヶ浦カンツリークラブ 新袖コース(6563ヤード/パー72)で開幕。絶好のコンディションに恵まれ、スーパープレーが続出した。大会第1日、8アンダーで首位に立ったのは、ルーキーの佐藤心結。1打差の7アンダー、2位は西村優菜がつけ、6アンダーの3位で有村智恵が追う。前週優勝の山下美夢有は、稲見萌寧などと並び4アンダー、5位タイにつけた。
(天候:曇り 気温:23.5℃ 風速:3.3m/s)
《グリーン=スティンプ:10 3/4フィート コンパクション:23mm》

 久々に青空が広がった。この日を待ちかねていたかのように、大器と評判が高い18歳、佐藤心結が64をマーク。自己ベストを一気に2打更新し、首位に立った。「ゾーンに入るって、こういうことだったのですね」と感想を述べ、まるで夢見心地のように会見へ臨んだ。

 本領を発揮したのは、折り返しのパー5・1番。残り225ヤードの第2打を3Wで2オンに成功した。ボールが花道を駆け上り、ピン5メートルへ。「ラフかなぁ、と思って歩いていったらグリーンへ乗っていた。これは絶対にイーグルを取りたい」と集中力が増す。あっさりとカップインさせた。

 ついて、良い流れが到来。「バーディーを取ると、次のホールでボギーを打つことが多い」と、不吉な記憶が頭をよぎった2番は、12メートルのバーディーパットをねじ込む。ゾーンへ入った。さらに、4、5、7、8番ではショートゲームがさえる。怒とうのバーディーラッシュが続いた。「スコアを気にしない。1ホール、1ホール攻め続けた。終わってみたら、後半が29。予想もしていなかった数字をマークできた」。フーッと息を吐き出しながら、神がかったラウンドを振り返る。

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 全国区の知名度を得たのは昨年、アマチュアで出場したスタンレーレディス。首位タイで4人プレーオフへ臨んだが、渋野日向子に敗れた。その後、11月の最終プロテストで一発合格。

 しかし、プロは甘くはなかった。ファイナルQTで健闘し、今季前半戦の出場権を得た。ところが、前週までの15戦で何と予選落ちが8回。11位から、暫定リランキングが24位へ下降した。ニッポンハムレディス終了後、新たな出場資格順位が決定する。「落ち込んで、つらい毎日。おいしいご飯を食べていても、味がしない」。苦悩の日々を語った。しかも、毎週のように試合が待っている。「プロの世界は、やっぱり凄い。実感しました」の言葉は、ズシリと重い。

 新たな力を与えたのは家族。「母をはじめ、まわりの方から大丈夫、大丈夫と励まされた。悪いところは当然ある。でも、良かったところを見つけよう」と気を取り直し、徐々にではあるものの、自身のスタイルを構築した。「20-30ヤードのアプローチが苦手。それなら、60-70ヤード以上を残して打てばいい」と発想を転換。この日のマネジメントがまさに発表会だった。

 「目指すのは優勝。這い上がります」と宣言。無の心を備えたゾーンへ入った経験は、果てしなく長いプロゴルファー人生の序章にすぎない。

(オフィシャルライター・宮脇 廣久)

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

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