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2022.9.4

セキユウティン 感謝と謙虚で6年目の初V

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 JLPGAツアー2022シーズン第26戦『アルペングループ創業50周年記念大会 ゴルフ5レディスプロゴルフトーナメント』(賞金総額1億円、優勝賞金1,800万円)大会最終日が9月4日、千葉県市原市・ゴルフ5カントリー オークビレッヂ(6,465ヤード/パー72)で行われた。大激戦。勝負は、通算12アンダーで首位に並んだセキユウティンと、吉田優利のプレーオフへ突入。PO2ホール目、セキがバーディーを決め、JLPGAツアー初優勝を飾った。3位タイは通算11アンダーの堀琴音、菅沼菜々が入り、小祝さくら、勝みなみが通算10アンダーの5位タイ。
(天候:晴れ 気温:29.7℃ 風速:1.3m/s)
《グリーン=スティンプ:11 1/3フィート コンパクション:20.5mm》

 上昇→下降→上昇。セキユウティンのJLPGAツアー初優勝はジェットコースターのように、目まぐるしく変化する内容だった。1イーグル、8バーディー、1ボギー、1ダブルボギー。さらに、サドンデスのプレーオフ2ホールが加わった。激闘である。

 それだけに、PO2ホール目のピン右から4メートルのバーディー奪取は見事。「絶対、優勝すると頑張った。勝因はメンタルです」と話した。第1日、66と絶好のスタート。しかし、前日は久々の最終組で、「弱虫でした。緊張感に負けてしまって…。もう、悔しくて昨晩はメンタルのコーチに1時間、カウンセリングです。おかげで、きょうは弱虫ではなかった」と明かす。

 12番、ピン右から8メートルのバーディーを決め、勢いが加速。パー5の13番は2オンに成功し、3メートルのイーグルが決まる。大混戦から一歩抜け出した。ところが、好事魔多し。続く14番で3パットのボギー、15番では第1打をOBとし、ダブルボギーを叩く。12、13番で上積みした3アンダーを一気に吐き出す。

 「メンタルが苦しかったけど、きょうは逃げるわけにはいかない。プレッシャーに負けなかった。逆に元気を出してあきらめずにプレーができたと思う」とひと息ついて、「残りホールでバーディーをとろう。私を応援し続けてくださる皆さんのために…」と、仕切り直しに成功したのだ。

 16、17番では連続バーディーで復活。単独首位でクラブハウスリーダーとして、勝負を見守った。「ロッカールームでクールダウン。目を閉じながら、プレーオフの準備を整えた」。JLPGAツアーでは初体験でも、プレーオフには自信がある。中国ではアマチュア時代、5戦4勝。プロへ転向し3戦2勝だ。

 とはいうものの、PO1ホール目の第1打がOBになるとは-。「まさか、吉田選手が3パットするとは予想もしていない。あの時、プレゼントをもらった感じがした」と、すまなさそうに漏らしている。


<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 中国国籍だが、出身は福井県。そして中国でゴルフをはじめた。アマチュアで36勝をあげ、18歳で中国ツアーの賞金女王へ輝く。次のターゲットをJLPGAツアーとする。17年、TPD単年登録でフルシーズン参戦したが、出場32試合で17試合の予選落ちは強烈な思い出になった。

 「考えが甘いというか、いい気になりすぎていたと感じます。アマチュアの時から私は天才-なんて思い込んでいた。しかも賞金女王にもなっていたし、妙なプライドがじゃまをして、謙虚になることを忘れていた」と猛省。初優勝まで6年もかかったことに、「今、謙虚な気持ちと感謝をしながらプレーを続けています。きょうの優勝も、私を支えてくださるスポンサー、指導を受けるコーチの方々。それから母など、優勝が決まってから顔が浮かんできて、涙が出てきた。技術はもちろんですけど、こんな気持ちになれたことがうれしい。6年は長くはありません。ちょうどいい頃合いかもしれませんね」と、勝利をかみしめた。

 一方で、「私の年齢は恋人と一緒に過ごしたい。そんな年頃です。でも、ゴルフを頑張ると決めた以上、いろいろとあきらめなくてはいけない。ツアー選手はみんなそうでしょう」と加える。

 ただし、プロゴルファーが味わうスリリングな週末と、勝利の味は格別。誰もが一度はと願い、一度味わうと、もう一度になる。おそらく、この人もそうだ。今大会が、99試合目。次週は記念の100試合である。


<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

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