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2022.9.26

ツアー強化10年《ロレックス ランキング》

<Photo:Ken Ishii/Getty Images>

 年に1度のロレックス ランキング フラッグシップイベント JLPGAステップ・アップ・ツアー『SkyレディースABC杯』が27日、兵庫県・ABCゴルフ倶楽部で開幕。120人が出場する。

 21年、ステップ唯一の4日間競技へパワーアップし、大熱戦が展開された。JLPGAがツアー強化へ取り組んで10年。今大会は、共催者である朝日放送テレビ株式会社とスカイ株式会社、JLPGAが手を携え、一丸となった成果のひとつにあげられる。ステップで力を蓄え、JLPGAツアーから世界で戦うための基礎づくり。世界の女子ゴルフ界で、各選手が世界での自己順位を知ることは大切な強化材料だ。

 JLPGA会長・小林浩美がステップ・アップ・ツアーをロレックス ランキングの対象へ-と活動をスタートしたのは13年。「11年当時、ステップは5試合。しかも2日間競技でした。13年、ロレックス ランキング世界会議へ出席すると、米女子下部ツアー・シメトラツアー、欧州女子の下部ツアー・アクセスシリーズがポイント対象になっていた。当然、日本のステップ・アップ・ツアーも世界ランキング対象ツアーにしたい、との想いを強くし、改革の一環として、活動をはじめました」という。

 改革の手始めは、実は12年からのテレビ中継導入だった。CS放送のスカイAで大会各日、毎日6時間のライブ中継を実現させた。「ステップでは創設当時から20年間、2日間大会で、しかもテレビ放送がなかったので、テレビ中継が始まると、まずゴルフファンのコア層にステップの認知が始まり、全国区になりました。大会や選手の露出が増えたことで、たくさんのスポンサーが興味を示され、選手や大会を応援してくださるように環境が変わって、徐々に試合数も増えていったのです。さらに、ロレックス ランキングの対象になれば、選手は世界での位置がわかり、ステップ自体の価値向上に繋がる」(同・小林)と振り返っている。

 とはいえ、ロレックス ランキング対象ツアーへ昇格するには、多くの条件をクリアしなければならない。《年間ツアーで10試合以上が54ホール開催》、《賞金総額が7万5000ドル相当、平均出場選手75人以上》などを代表に、多くの基準を満たさねばならない。

 13年、JLPGAは各大会との共催者会議で説明。3日間大会への移行や世界ランキング対象ツアーへの理解を得ながら、新規大会は3日間大会として増やし、各試合でギャラリー動員などの働きかけを行った。また、ロレックス ランキングの理事会へは熱心に、丁寧に現状を説明しながら、日本のステップをアピール。各大会スポンサーの理解と支援があって徐々に条件を満たし、内定を得たのは16年。米、欧に続き、日本のステップが世界で3番目に下部ツアーとして、17年からロレックス ランキング対象となることが決定し、大きく変化を遂げた。

 ステップの試合数(カッコ内は3日間大会)は、14年・12大会(0大会)→15年・14大会(1試合)→16年・18大会(9試合)→17年・21大会(15試合)→18年・21大会(18試合)へ急増する。トーナメント事業部が掲げたステップでの「ツアー強化」と「ブランディング向上」が形になった。

 さらに、世界基準を目指す新時代の到来は、渋野日向子の登場で後押しされる。18年、ステップ賞金ランキング10位。ステップ出場終了時点(10月22日)で3.29ポイントを得て、ロレックス ランキング559位にランクイン。ファイナルQTで19年、JLPGAツアー出場権を獲得する。そして、ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップでツアー初優勝した。19年5月13日時点で97位と、トップ100にランクアップへ成功。

<Photo:Ken Ishii/Getty Images>

 さらに、資生堂レディスオープン優勝後に50位へジャンプアップした。勢いに乗って、全英女子オープン優勝を果たし、14位。さらに9月30日には、204.29ポイントで11位まで順位をあげた。わずか、1年足らずの間に世界の階段を駆け上がった。ベースは、ステップで獲得した世界ランキングポイントから出発している。

 一方で、ロレックス ランキングにおける、JLPGAツアー公式戦の位置づけの上昇も図った。かつてないツアーの隆盛を誇り、世界で戦う日本人選手が急増。21年からアジアナンバーワン決定戦・公式競技の『日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯』が従来の総ポイント190から、最低350ポイントへ160ポイント増加が認められた。こちらは、17年にロレックス ランキング理事会へ働きかけ、日本のメジャー大会の歴史と価値を丁寧に説明。国内と海外での日本選手の実績をより反映させるべく21年からポイントアップが実現した。

 さて、今回のフラッグシップイベント。各ツアーで年に1試合指定することができる。フィールドの強さの指標に25ポイントのミニマムストレングスポイントが付与され、出場選手へ世界ランキングポイントが高い。なおかつ付与される人数が多くなる。わかりやすくいえば、ボーナス争奪戦ということか。

 ディフェンディングチャンピオンの服部真夕は、「ただの1日ではない。18ホールが増えることは大きく変わる。若手選手はもちろんだけど私たち、キャリアがある立場でもすごい経験、刺激になります」と話す。

 「体調維持がキーワードです。集中力の勝負というか、72ホールは日に日に体が重くなる。でも、たとえ1日、満足いくプレーができなくても4日間あれば、挽回が可能です。私の経験からいえば、(JLPGAツアーで)5勝しているけど、すべて3日間競技。去年、初めて4日間で優勝できたことは、すごい自信と財産になりました。今年も精いっぱい、プレーします」と笑顔で誓った。

 現代社会は、多くのファクターがランキングで表される。一目瞭然。プロゴルファーは、各試合で1ストロークでも少なく-を合言葉に優勝を目指す。その上で、ロレックス ランキングで世界のポジションが示される。ツアー強化と個人の努力は一体でなければならない。

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