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2022.11.1

ゴルフ版・マネーボール 山下美夢有の挑戦

<Photo:Atsushi Tomura/Getty images>

 スタッツは個人記録。ましてや、ゴルフは個人競技だ。感覚にとらわれず、数字で己を知ることは、安定性をもたらす。さらに、経験が少なくてもキャリアを克服できることを、プロ3年目の山下美夢有は実践中である。スタッツを解析し、データを収集。アナリストの能力の高さまで発揮している。

 たゆまぬ努力が一気に開花したのは、ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン第1日。ツアー最少ストローク記録を更新する60をマークした。「ダンロップのクラブがいい仕事をしてくれた」と、ストレートに感謝を表す。用具契約するスポンサーのこの大会から、生命線ともいえる1Wを新調。加えて3W、5Wも一新して臨み、新しいものに替えた。

 思い切りの良さを後押ししたのは、データを駆使した新時代のスタイル。さっそく、用具の特性を最大限に引き出したことも、プロフェッショナルの証明だった。ルーキーの時から、ことのほか数字を追っているという。

 「オフィシャルサイトのスタッツは、全体をよくみている。最近、特にパット数へ注目。というのは昨シーズン、パッティングが平均して悪かったからです。データをみながら、私に足りないことは何か-もっと良くなるためにいろいろ考えられる。ありがたいと思います」と話した。


<Photo:Atsushi Tomura/Getty images>

 見るだけではなく、先行投資も忘れない。20年からトラッキングシステムを導入。詳細なデータを蓄積しながら、練習を重ねることでトッププレーヤーへ駆けあがった。「購入する以前、本当にトラックマンがいるのかなぁ、と思っていた。でもPGAツアーの選手が使用していることをテレビでみて…。大半の選手が使っている。実力をアップするためには、データから分析し、ウィークポイントを補う必要性を感じた。それで、うまくいけば自信がつく」と振り返った。

 今季は既に3勝をあげ、メルセデス・ランキングのトップを快走中だ。しかも13戦連続ベスト10フィニッシュという、抜群の安定感も目を引く。身長150センチと小柄な体形だけに、飛距離は望めない。ショットの精度が生命線だ。

 スコアを伸ばすには、バーディーチャンスを数多くつくることが急務。スイングスピード、スピン量、入射角などを計測してきた。重視するのは、ボールスピード、クラブスピードから導き出す「ミート率を大切にしている。打ち出し角の高低をみながら、調子を図ります。具体的には、1Wで3-4度、打ち出し角度が出ると、打球が高すぎる。ランが出ない。強い打球ではない。それより低い数字でボールを飛ばすように、スイングを修正します」。ちなみに、ミート率の目標値は1.50と教えてくれた。

 激しい競争が展開されているJLPGAツアー新時代。ゴルフ版・マネーボールが進行中だ。

『スタッツ効果・選手の声』へ続く→




<Photo:Atsushi Tomura/Getty images>

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