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2023.1.23

春を待つ94期生~泉田 琴菜

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 コロナ禍の難しい調整を克服。2023年、プロ2年目のスタートを切る。21年11月、29.2倍という、狭き門を潜り抜けた94期生は逸材揃い-との評判が高い。

 いずみだ・ことな=1999年8月5日、新潟県出身

 チャンスをつかむ。いや、年女の今年は、つかみにいかなければならない。勝負の23年は年明け早々、千葉を拠点にして体力づくりに励む毎日だ。「今の季節、沖縄などは別にして、どこへ行っても寒い。まず、体が資本ですからしっかりトレーニングを行い、よく動いています」という。

 今季はQTランキング18位。開幕戦から全力投球を誓った。「去年、たくさんの経験をしながら、多くのことを学びました。そのひとつが、待つ身にはならない。後半戦はウェイティングが多く、試合へ出られるか、出られないかは運しだい。ちょっと複雑でした。プロの世界は、すべてがランキングしだい-ということを痛いぐらいに体験…」。

<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

 22年、JLPGAツアー14試合出場。最高位はアース・モンダミンカップ、日本女子オープンの11位タイだった。トップ10には一歩及ばなかったものの、大舞台でキラッと光る。そんなルーキー。ファンに最もインパクトを与えたのは、ツアー2戦目のアース・モンダミンカップ最終日だろう。パー5の8番、残り31ヤードの第3打を60度でイーグル奪取へ成功した。

 「プロになって初めてのイーグル。22年のベストプレーです。うまくスピンをかけて、ボールがいい転がりをしてくれました」。思い出し笑いを少し浮かべながら、特別賞100万円獲得のプレーを振り返る。

 では、どんな1年だったのか。「いい意味で、悔しいことがたくさんあった。ただ、すべてが悔しかったか、というとそうでもない。当初、トーナメントの難しいセッティングにちょっと足踏みをするところもあったけど、試合が終わるとすごい充実感に浸ることができた。経験を積みながら少しでも上位を目指せるようになったと思います」と語っている。

 とはいえ、特性を出すことができたか、といえばそうでもないらしい。オールラウンドプレーヤーを目指すアスリートで、際立つのは飛距離。1W=平均250ヤードのアドバンテージを存分にいかすことができれば、さらなる高みを目指すこともできる。

 「ショットの精度をあげなければなりません。結局、いくらボールが飛んでも曲がってしまっては、諸刃の剣。フェアウェイの真ん中をキープできれば、コースの難度だってそれほどあがらない。まっすぐに打つだけでいいわけです。去年、ティーイングエリアに立って、ちょっと怖がってしまうことが何度かあった。1Wではなく、3Wを使って、安全策をとったことがあります。クラブをしっかり振る。せっかく飛距離がでるわけですから、生かさなければ何もならない」といい、「体力だって同じことでしょう。皆さんから、基礎体力がありそう、といわれたことで甘えてしまった。それも、反省点。もっと、もっと今、やらなければならない。今年は、年明けからしっかり体を動かしている。フィジカルとメンタルを整えながら、技術をあげていく。やることがたくさん、ですね」と続けた。

<Photo:Ken Ishii/Getty Images>

 プロフィールを拝見すると、キャリアは14歳から。ゴルフは生涯スポーツとはいうものの、現在に当てはめると、ちょっと遅い気がする。一方で、特技とスポーツ歴の項に野球と記した。

 「野球は個人の努力で、どうにもならないこともある。どんなに頑張っても将来、女子にはカベが立ちはだかります。そんなことを考えていた矢先、母からゴルフ転向をすすめられた」。決断と同時にプロを目指す気構えが整う。中学を卒業し、米IMGアカデミーへ留学という異色のキャリアを選択。3度目の最終プロテスト受験で合格した。

 また、趣味は音楽鑑賞。「これといった趣味があるわけではありません。ツアーへ出場してから、テレビをみることが少なくなり、音楽をきいている」と、つぶやくように話す。そして、「おすすめ、ありますか」と逆に質問を受けた。

 さて、何を-。そこで奥深きジャズを推薦した。音楽消費全体で、ジャズが占める割合はわずか1.3%にすぎないがゴルフ同様、一生涯楽しめるカテゴリーである。琴線にふれそうなキース・ジャレットの『ザ・ケルンコンサート』を、最初の1枚として僭越ながらあげると、さっそくインターネット検索。最悪の体調から、誕生したエピソードがある音楽史に残る名盤だ。知らないよりも、知っていた方が人生の彩となる。余談だがZARD、坂井泉水の愛聴盤だったそうだ。

(青木 政司)


<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

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