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2023.4.28

吉田弓美子がバースデー首位 同級生へ『ありがとう』 

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 JLPGAツアー2023シーズン第9戦『パナソニックオープンレディースゴルフトーナメント』(賞金総額8,000万円/優勝賞金1,440万円)が4月28日、千葉県市原市・浜野ゴルフクラブ(6,656ヤード/パー72)で行われた。大会第1日は大混戦。5アンダー、首位タイに吉田弓美子、川岸史果が立った。1打差の4アンダー、3位タイは永峰咲希、葭葉ルミ、フェービー・ヤオ。
(天候:晴れ 気温:23.4℃ 風速:3.2m/s)
《グリーン=スティンプ:11フィート コンパクション:24mm》

 兎年は飛躍の時。吉田弓美子がカムバックをアピールする首位タイ発進を決めた。しかも、この日は自身、36歳の誕生日。「年齢を重ねることはもっか、自粛中です」とジョークで笑いを誘い、会見がスタートした。「36歳になって、JLPGAツアーでプレーができるとは思ってもいなかった。しかも、スコアがいい。きょう、ゴルフはあきらめなければ、何があるかわからない。そういうことを改めて知りました。本当に、(ゴルフを)続けてきて良かったと思います」。

 ひとこと、ひとことが聞き手にズシリとくるような重みがあった。すなわち、経験の賜物だろう。「スタートアナウンスで誕生日-とコールしてくださったのがうれしい。でも、はずかしい」。そんな感想を漏らしたが、プレーをはじめればベストを尽くすことはプロデビュー以来、不変の法則だ。10番スタートの前半、2バーディー、ノーボギー。後半へ入ると一気に調子が上がってくる。2番=4メートル、3番=3メートル、4番=6メートルと3連続バーディーで首位へ立つ。

 そして、ハイライトはパー3の最終9番。グリーン右横のラフから15ヤードのチップインを決め、応援するファンへ感謝のバーディーフィニッシュで応えた。見事な復活劇に驚かされる。19年、シード権を失った。以降、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、人生でもっともつらい3年間がスタートする。

 「コロナ禍で自宅へ引きこもることが多かった。だから、どうしてもいろいろなことを考える。もう一度、一からやり直そう。そう思えるまでにはいろいろな思いが交錯した」と、振り返るのも無理はない。そんな沈んだ心持ちへ、活を入れたのは同年代の選手たちだ。

「穴井さん、笠さん、有村さん、服部(真夕)さん、原(江里菜)さんなど、ひたむきにプレーしている姿に励まされた。落ちるところまで落ちて、皆さんのすごさがわかった。誰にも苦しい時がある。それを乗り越えてきた、彼女たちが休憩するまで私も-」と、あえて言葉を切り、さらに続ける。

 「尊敬している同級生がいる。私も頑張ろう。幸いにも、ステップ・アップ・ツアーへ出場できる権利があった。また、推薦をいただいてJLPGAツアーへも出場することができました。試合へ出場できることがどれほど幸せなことか…。だから、モチベーションの低下はありません。逆にやり直せることが幸せです」と、かみしめるように語っている。

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 今季はQTランキング30位で、第1回リランキングまで前半戦の出場権を得た。「JLPGAツアーの出場権を勝ち取った。きっと、ツアーでは続けたいけど、どうしようと考えている選手もいることでしょう。そんな選手へ、ちょっとおこがましいけど吉田のようなパターンもある。そう、思ってほしいなぁ」。エールをおくった。

 ちなみに、誕生日の第1日、首位に立ったのは過去4人。5人目の達成である。ただし、優勝を飾った選手はまだいない。残り2日間をどう戦うか。「上はみない。今の私をみてプレーをする」。

 会見を聞きながら、脳裏を過ったことがあった。現在、MLBで快進撃を続けるパイレーツで25日、メジャー初出場を果たしたドリュー・マッシ内野手。マイナーリーグ13年間を経て、ついに悲願を果たしたことが全米の話題になっている。「不可能なことなんて、何もない。決してあきらめてはいけない」と胸を張って答えた。

 あきらめない年女の今年は、大きな転機。それだけに、誕生日の翌日がもっと大切である。

(青木 政司)

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