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2023.4.30

Vの穴井詩 本当はイーグル締めのシナリオだった

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 JLPGAツアー2023シーズン第9戦『パナソニックオープンレディースゴルフトーナメント』(賞金総額8,000万円/優勝賞金1,440万円)最終日が4月30日、千葉県市原市・浜野ゴルフクラブ(6,656ヤード/パー72)で行われ、首位スタートの穴井詩が通算10アンダーで今季2勝目、ツアー通算5勝目をあげた。1打差の通算8アンダー、2位は永峰咲希。
(天候:雨のち曇り 気温:23.3℃ 風速:4.9m/s)
《グリーン=スティンプ:10 2/1フィート コンパクション:23mm》

 穴井詩のパー5・18番、残り82ヤードの第3打。全身に闘志をみなぎらせ、こん身のショットを放った。「(スコアの)状況がわからない。ただ、17番でボギーを打ったから絶対に-」。

 見事な弧を描き、ボールはピン30センチにつけた。楽々とバーディー奪取。1打差で逃げ切り、今季の目標であるシーズン複数回優勝を9戦目で達成した。ところが、このワンショットには意外な舞台裏がある。「(カップへ)入れるつもりでした。第1打がラフへ行ったから、2オンは狙わず、第3打勝負。ウェッジのいい距離で、しかもグリーンの傾斜でバックスピンがかかってボールが戻る距離にピンがあった。ショットは完璧。カップインできなかったのは、本当に残念です」。まさに、ベテランの技である。

 36歳、年女の今年は抜群の安定感が備わった。「すごくうれしい優勝です。今年は、少しおとなになった気分がする。ひとつのボギーでバタバタしなくなって。試合中以外にも、自分で考えることが増えたからかなぁ。たとえば、ショットの不調の時は、どう矯正するかは別だけど、原因がわかります」と、少し照れくさそうに話す。

 たとえば第1日、1Wが不調の際は、バランスディスクで矯正。第2日、66をマークして首位へ浮上した。しかも、この1Wに秘密が…。「前週のフジサンケイレディスで、体力を削られてしまい1Wが重い。そこで軽いヘッドに替えた」そうだ。こうした思考の柔軟性も好成績を後押ししている。

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 その一方で、少しだけ年齢にふれ、「今までしっかり睡眠をとれば、疲労が回復したけど、最近はちょっと。それを補うため、しっかりとケアをして、練習量を調整する。まぁ、うまいことやっています」と苦笑した。

 この日は早朝から、最大瞬間風速14.4m/sを記録するほどの荒天。しかも雨が激しい。多くの経験から、「風だけなら何とかなる。でも、雨の日はクラブを濡れないように気をつけるぐらいしか手がありませんね」という。勝負は前半から一進一退。首位を明け渡し、また並び、追い越しの展開だった。

 「以前に比べ、集中力が最後まで途切れない。最近は打つ前にヤーデージブック、ボールを交互に見ることを続けないようにしている。空を見上げて、雲をみていることも多いですね」と一球入魂のスタイルだ。もうひとつ、ファンのイメージは穴井詩=飛距離だが、いつのまにかショートゲームの名手にもなっていた。「今大会、58度が一番活躍したクラブ」と解説を加えている。

 次週はワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップ。「記憶が薄れるぐらい昔から、公式競技優勝を目標でした。サロンパスカップは今年最初の公式競技。できればとりたい。カギは第1打。毎日、バランスディスクへ乗ります」と、努力を怠らない誓いを言葉にする。自身の黄金週間を、次週も継続するためだ。

(青木 政司)

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