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2023.6.18

東浩子 驚異の89人抜きで復調

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

ニチレイレディス 袖ヶ浦カンツリークラブ・新袖コース(千葉県)最終日

 これぞ、リランキング。通算9アンダー、8位タイでホールアウトした東浩子が驚異の89人抜きを決めた。ひとつでもスコアを伸ばす。終盤、夏女らしい気迫がみなぎった。残り5ホールで3バーディーの猛チャージ。最終18番では2メートルのバーディーを決め、ようやく笑顔をつくった。

 「すごくないですか。この再起は」。ホールアウトしても、まだ興奮が冷めやらない。何しろ主催者推薦選考会をトップ通過して、今大会が今季のJLPGAツアー初戦だった。「今の私の置かれた状況を十分に理解している。まず出場資格をつかんで、それからは精いっぱいのプレーをすることが目標でした。でも、前週のステップから調子が上向き。ショットの精度が戻ってきた」という。

 2012年の最終プロテストでトップ合格を果たし、ファイナルQTも1位。そして、JLPGA新人戦 加賀電子カップも制した。ということで、92年生まれで構成される成田美寿々、青木瀬令奈、福田真未などが黄金世代に対抗し、最強アズマ軍団を結成。その盟主である。ところが、一昨年からショットの不調に悩まされ、22年はQTにも失敗。ランキング133位と低迷して、今季はステップ・アップ・ツアーが主戦場である。

 「オフから、ゴルフについて、すべてを見直した。アドレスからメンタルの保ち方まで…。考えてみれば、プロになって干支がひとまわりしていた。そんなことをしたのは初めてです。でも、悲観はしなかった。逆にステップへ出て、すごく新鮮な気持ちに。何と表現していいのかわからないけど、JLPGAツアーは私に限らず、身を削りながら毎日を過ごしていたような感じでした。でも、ステップではカートでプレーし、毎週のように試合があるわけではない。そういう変化があって、ゴルフとちょうどよい距離感ができた」。しみじみと語っている。

 一方、年明けの1月6日、入籍した。「先輩から、アドバイスされたことがあった。結婚するのは成績が悪い時に-と。家庭があるとすごい気分転換になります。主人は14歳年上でまぁ、ゴルフも100を切れるかなぁという程度。それでも、私のやりたいように、と応援してくれるし、ちょっとしたアドバイスをしてくれるところが心強い」。生活環境もガラリと一変し、ゴルフ一辺倒の人生へ彩を添えている。

 ただし、試合後にはうれしい悩みが増えた。第1回リランキングで44位へジャンプアップ。次週からのスケジュールが白紙になった。アース・モンダミンカップの出場が確定。「もちろん、出ます。とりあえず、岡山へ帰りますけど、すぐに出直してくる」とうれしそうだ。1ストロークの価値と、スリリングな勝負のだいご味。きっとプロゴルファーで良かった-を再認識したことだろう。

(青木 政司)

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