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2023.7.14

不惑の大逆転 下川めぐみ-プロ初V

<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

 JLPGAステップ・アップ・ツアー2023シーズン第11戦『あおもりレディスオープンゴルフトーナメント』(賞金総額2000万円、優勝賞金360万円)大会最終日が7月14日、青森県青森市・青森カントリー倶楽部(6546ヤード/パー73)で行われ、下川めぐみが逆転優勝。通算10アンダーで、プロ初Vを飾った。4打差をつけ首位スタートの宮田成華は74。通算9アンダーで2位に終わった。
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 最終日、下川めぐみはキャップ、ウェア、スパイクを全て白で統一した姿でスタートホールのティーイングエリアに登場。暑さ対策かと思いきや、ホールアウト後にその理由を語ってくれた。「今、テニスのウインブルドンが行われていますが、大好きな(ノヴァーク・)ジョコビッチ選手を真似て、白のウェアにしました」。以前からジョコビッチのファンではあったが、関連書籍を読んだことで生まれ育った境遇やプロとしてのストイックな部分を知り、より応援するようになったという。

 「あんな過酷な競技で、頂点に登り詰めてもそこから落ちずにずっと君臨しているのはすごいと思いますし、少しでも近づきたい気持ちはあります」。今年で40歳となり、プロとしても17年目を迎えている下川だが、最近では引退の二文字もちらつき始めていたという。それでも、懸命に練習やトレーニングに取り組むなど、ツアーで戦える準備は常に怠らなかった。その根底にはベテランになっても一流であり続けるジョコビッチの姿があったからだが、最終日は少しでも生きるレジェンドにあやかりたい気持ちがあっての白いウェアだった。

 ただ、首位の宮田成華とは4打差あっただけに、下川の中で逆転は難しいという思いが強かった。それならば、今取り組んでいるスイングを試合で1パーセントでもできることを目標にティーオフした。読みどおり前半のハーフで1打伸ばしたものの、10番を終えたときはスタートと変わらぬ4打差。ところが、ゴルフは何が起こるか分からない。その後、宮田がスコアを2つ落とし、下川が2つ伸ばしたことで、最終ホールを前についに首位に並んだのだ。

 「ラウンド中はスコアボードを一切見なかったですし、普通に3打ぐらい離れているのかなと思っていたんです。17番のバーディーで2位ぐらい狙えるかもしれないと思っていました」。緊張した表情を浮かべる宮田とは対照的に、リラックスモードで18番をプレーした下川。3打目をピン手前約4メートルに乗せてもまだ状況を把握していなかったと言う。

 「バーディーパットを打つ前にボードを見たら、自分がトップに並んでいるじゃないですか。しかもこのパットを入れれば優勝だと知り、改めて大事なパットだと気がつきました」。途端に手が震えてきたが、1、2週前から変えたパッティングスタイルが今大会ではしっくりきていたこともあり、自分を信じてストローク。ボールがカップに吸い込まれるように沈んだのを確認すると、右手の拳を力強く握りしめた。

 意外にもJLPGAツアー、ステップアップツアーを通じて初めての優勝だったという下川。ここまでたどり着くまで苦しいことばかりだったと振り返るが、今年に入ってから、あえて長い時間をかけても安定したショットを打てるスイングに改造しようと取り組んできたことが結果となって表れた。「今後はJLPGAツアーでも1勝できるように頑張ります」と力強く語った下川。新たなゴルフ人生を歩むことに惑いはない。


<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

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