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2023.9.2

レジェンド復活 李知姫が圧巻のステップ初V

<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

 JLPGAステップ・アップ・ツアー2023シーズン第13戦『山陰ご縁むす美レディース』(賞金総額2,000万円、優勝賞金360万円)大会最終日が9月2日、鳥取県伯耆町・大山平原ゴルフクラブ(6,500ヤード/パー72)で行われ、JLPGAツアー23勝の李知姫が通算9アンダーでステップ初優勝を飾った。ステップ出場は、今季5戦目。2019年KKT杯バンテリンレディス以来、4年ぶりのうれしい勝利になった。2打差の通算7アンダー、2位は鬼頭さくら。3打差の通算6アンダー、3位タイに沖せいら、ウーチャイェンが入った。
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 柔和な表情にも目の輝きが違った。最終日、最終組を久々に経験。そして、忘れかけていた闘志を呼び覚ました。4番のバーディートライは17メートル。2パットで安全策をとることがセオリーだが、その視線の先にははっきりとカップを視界へとらえていた。

 「ピン位置が右奥。でも、グリーンの左へオンして結構、距離があった。しかも、難しいスライスライン。本当に、よくカップインできたと思う。きょうのキーホール。1番でバーディーチャンスを逃しただけに、よけいです。このパッティングで流れが変わったことがわかった」という。百戦練磨のベテランが勝負勘を取り戻せば、それこそ手強い。

 勝負所を逃さなかった。続く5番は残り93ヤードの第2打を52度で、1.2メートルへ。楽々と連続バーディーである。さらに6番では、3.5メートルを落ち着いて沈め、パー3の7番が、9Iで2メートルとショットの切れ味が際立つ。前半で4連続バーディーは、とてつもないアドバンテージだ。

 ただし、終盤までは自身との勝負に徹した。「とにかく、集中しなければ-ワンショット、ワンショットへ全力投球。それでも、16番のようにミスが出る。私が初めてスコアを確認して戦況がわかったのは17番を終えた後。ノーボギーラウンドを狙っていたから、16番のボギーが本当に悔しかった」と複雑な胸中も漏らしている。

 不惑を過ぎたとはいえ、李知姫は悩み多き毎日。44歳を迎えた今年は、ゴルファー生命をかけたシーズンといっていい。20年連続で保持したシード権を昨年、喪失。気を取り直して、ファイナルQTへ挑戦したものの、ここでも思い通りの結果を残せない。「プレーでいうと、去年は内容が悪い。だけど、若い時と違い、果たしてそれを乗り越えることができるか-そう考えると、本当に自信がなくなって…。そんな時、所属先の社長さんから、少しでもツアープロを続けたい気持ちがあれば、サポートします。とにかく、よく考えて決めてください、とおっしゃってくださった。そのひとことで、このままでは終われない。そんな気持ちになった」。


<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

 試合を求め、来日した2000年以来、23年ぶりとなるステップ・アップ・ツアーへ出場することにも迷いはない。「それどころか、勉強になることばかり。JLPGAツアーとは違って、セルフプレーです。今まで、キャディーさんに甘えすぎでした。やることが増えて、大変ですけど慣れればおもしろい。すごくいい経験をさせていただいています」とほほ笑んだ。

 最終18番では、楽々とウイニングパットを沈めて、レジェンド健在をアピールした姿が、とても格好いい。次週は日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯へ。

 「いい成績をおさめたい。今回の優勝争いをムダにはしません」と、失いかけた自信を完全に回復した。それほど優勝は価値があるものだ。

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