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2023.9.29

逆転で初優勝 小林光希が引き寄せた強運

<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

 JLPGAステップ・アップ・ツアー2023シーズン第16戦『Sky レディースABC杯』(賞金総額4,000万円、優勝賞金720万円)大会最終日が9月29日、兵庫県加東市・ABCゴルフ倶楽部(6,660ヤード/パー72)で行われ、ルーキーの小林光希がステップ初優勝を飾った。2打差を追ってスタート。1イーグル(ホールインワン)、4バーディー、3ボギーの69をマークし、通算7アンダーで大混戦の今大会を制した。1打差の通算6アンダー、2位は橋添穂。3位タイの通算5アンダーは河本結、藤田かれん、鬼頭さくら、ウーチャイェンが入った。
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 勝利には運を引き寄せる見えないパワーが必要だ。優勝した小林光希は強運と、強心臓が宿った。ハラハラドキドキさせながら、1打のアドバンテージをわたさない。ステップ・アップ・ツアー唯一の4日間競技は、これから続くプロ人生の大きなターニングポイントとなったことだろう。

 ハイライトはパー3・12番。迷わずにサッと9Iを選択した。「ティーイングエリアがひとつ前。ショートアイアンが使える。しっかりとバーディーをとることだけを心がけた」という。

 打球はピン方向へ、きれいな弧を描いた。そして手前に落下。ラインに乗ってカップへ吸い込まれた。「もう、びっくりです。ただ、優勝争いのさなかですから、喜んでばかりはいられなかった。気持ちは次のホールへ向かって・・・」と振り返る。

 ところが、13番に設置されたリーダーボードをみると一躍、首位へ-。「何気なくボードを見たら、緊張してしまった。さらに、ホールインワンの興奮が遅れてやってきた」そうだ。加えて、ギャラリーの視線が違っていたことにも気がつく。「驚きと、うれしさが一緒にやってきた。こんな気分、はじめてかもしれませんね」と、ぜいたくな気分を言葉にしている。


<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

 ただし、勝負の常でいいことばかりは続かない。14、16番でボギーを叩く。迎えた17番、第2打をグリーン右手前に外した。ピンチに直面しても攻めの姿勢は崩さない。「残り10ヤードぐらいの第3打は58度で、チップイン狙いでした。いい感じで打てましたけど、50センチぐらい足りない。でも、お先に-のパーセーブ。きょうはこれが一番大きいと思いました」。

 ピンチの後にはチャンスが待っている。パー5の最終18番で2オンに成功した。2パットでバーディー奪取。通算7アンダーでクラブハウスリーダーとなった。

 「橋添さんは最終ホール、必ずバーディーをとると思った。だから、心臓の鼓動がはやくなって・・・。プレーオフへ備え、素振りやパッティング練習をしていたけど、すべてが手につかない。まったく集中できなかった」と本音が漏れる。とはいえ、POは杞憂に終わった。

 なぜか表情は笑っていても、「初めての経験ですし、まったく(優勝の)実感がありません」。ルーキーとして、今季はステップ中心だった。しかし、2位が2回。才能豊かな選手のひとりだ。だが、前2戦は連続予選落ち。「体調を崩していたけど、もう大丈夫。本調子を取り戻したうえ、アドレスの修正がしっかり行えた。クラブが気持ちよく振れる」と息をつぎ、「4日間競技で私には有利だった。きのう、ダブルボギーを叩いても、まだ取り戻せる。前向きにとらえることができたから-」と続けた。

 それにしても、値千金の優勝。ステップの賞金ランキングで2位へ躍進した。このままポジションをキープすれば、24年JLPGAツアー前半戦の出場権を獲得できる。

 「(ランキング首位の)ウーさんにも追いつく。そういう気持ちで残りシーズンを戦う」。自身の可能性を誰よりも感じている。

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