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2023.10.1

最後まで食らいついた菊地絵理香が3度目の2位

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

日本女子オープンゴルフ選手権 芦原ゴルフクラブ 海コース(福井県)最終日

 「一生懸命プレーしすぎてスコアを数えておらず、気がついたらノーボギーで回っていたという感じです」。ホールアウト後、悔しさと精一杯戦い抜いたという思いが絡み合う複雑な表情を浮かべながら、菊地絵理香はそう語った。首位の原英莉花に1打差の単独2位でスタートしたこの日、1番・パー5でいきなり原が2オンに成功し、あっさりとバーディーを奪う。菊地も2メートルのバーディーチャンスにつけていたが、それを決め切れず、早くも2打差に。しかし、2番・パー4で原がボギー、3番・パー3で菊地がバーディーを奪い通算11アンダーで両者が並ぶ。

 この時点で2人を猛追する者はなく、試合は完全なマッチレースとなった。ただ、最終日の原はティーショットで飛距離を稼ぐうえに大きく曲げない。菊地も比較的フェアウェイをとらえたが、やはりティーショットが飛ぶ原が有利な展開となった。顕著な例が5番・パー5だ。ともにティーショットでフェアウェイをとらえる。しかし、第2打をグリーン右手前の花道まで運んだ菊地に対し、原はピン左上5メートルに乗せてきた。菊地も寄せワンのバーディーを奪ったが、原がイーグルパットを決めたことで、1打リード。「原さんと違い、自分は2オンしないので、第3打を寄せてバーディーを取るしかなかったんですけどね。あとは短いパー4で勝負するしかないなと」。その作戦自体は悪くなかったが、原がイーグルを奪うとは予想外だっただろう。

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 もっとも、この日は菊地自身がピンを攻め切れなかったところもある。「グリーンが軟らかい分、ピンをデッドに狙わないといけない状況でしたが、奥に外してはいけないという恐怖心もあり、難しかったです」と振り返る。ピンそばにつけることができず、長めのバーディーパットを残すことに。さらに、この日もピンは傾斜に切ってあったため、上りのラインでは相当しっかり打たなければいけなかった。しかし、「少しでもパンチが入ってカップをオーバーすると、気持ち悪い70-80センチの下りパットが残るので、パッティングのアジャストが上手く行かなかった」という。

 結局、6番ホール以降で原はスコアを2打伸ばしたが、菊地は伸ばせず、13ホール連続でパーを重ねることに。「原さん自身に隙がなく、厳しいパーパットも終盤入れていたので、16番・パー4でパーパットを入れた時に逆転は厳しいかなと思いました」と、涙をのむしかなかった。

 それでも、35歳の菊地は24歳の原に対し、最後まで懸命に食い下がっていたのは確かだ。ボギーを叩きそうなピンチでも厳しいアプローチを寄せたり、長いパーパットを沈めてパーセーブを続けた。菊地の今大会勝利への執念を感じさせられたし、あきらめずに食らいつく姿勢に見る者は感動さえ覚えたのではないか。「いつまでできるか分かりませんが、またチャンスがきたら狙いたいです」と言い切った菊地。3度目の2位に涙こそ見せなったが、もう2位はいらない。勝利に向けたベテランの挑戦はまだまだ続く。

(JLPGAオフィシャルライター・山西 英希)

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