7番・7Iでスーパープレー　森田遥『すきまが見えた』

＜Photo：Hiromu Sasaki/Getty Images＞

　JLPGAツアー2023シーズン最終戦『JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ』（賞金総額1億2,000万円、優勝賞金3,000万円）大会第2日が11月24日、宮崎県宮崎市・宮崎カントリークラブ（6,497ヤード/パー72）で行われた。この日は最大風速12.8m/sを記録。忍耐が試される一日だった。首位は通算7アンダーへスコアを伸ばした森田遥。1打差の通算6アンダー、2位へ山下美夢有が浮上した。年間女王を争う申ジエは通算3アンダー、5位タイ。
（天候：晴れ　気温：18.7℃　風速：7.5m/s）
《グリーン＝スティンプ：9 1/4フィート　コンパクション：23mm》

　頂上決戦。この1打を見ただけで、ギャラリーは大満足だったことだろう。首位をキープした森田遥の7番。

　「左の林へ打球が飛び込んだ。第2打地点へ行くと、もうびっくり。出口が見えなかった。ボギーで上がれたら上々でしたよ」。何気ない態度でいても、心の動揺が伝わってくる。しかし、深呼吸をして、状況を再確認すると、ほんの少し－リカバリーの出口を発見した。

　得意クラブの1本、7Iを選択。集中力を最大に高め、勝負をかけた。クラブを一閃。わずかなすき間から、グリーンまで残り33ヤードのフェアウエイへ打球を戻した。続く、第3打も絶妙である。ピン1メートルへ寄せ、素晴らしいパーセーブ。うれしい。さすがに、ポーカーフェイスがトレードマークだが、この時ばかりは相好を崩した。

　「トラブルショットの練習なんてしていない。一発勝負。朝から、ガマンを続けていたから流れが途切れずにすんだ。結構、というか、すごく大きいワンショットになりました」と、胸をなでおろす。そして、パーセーブに成功。「朝からとても風が強い。本当にどうなることか．．．。先にプレーしている選手の皆さんはオーバーパーがたくさん。私もそうなるかもしれないけど、ベストをつくそう」と誓い、スタートホールへ挑んだ。

＜Photo：Atsushi Tomura/Getty Images＞

　前日に続いてボギーが先行。ただし、少しもあわてることはない。「このコースにいられるだけで私は、幸せだから」。戦略はゆるがない。「8番まではガマン。パー5・9番でチャンスをつかんで、10-13番でバーディーをとる」。13番、残り83ヤードの第3打をピン3.5メートルへ運ぶ。好調のパッティングで2つ目のバーディー奪取。さらに、15番では右手前10メートルから、鮮やかにバーディーパットをカップインさせた。

　「一度、つまずいたら坂を転げ落ちるようになる。そんなイメージが強いコース。1ホール毎、細心の注意をはらって、あと2日間のラウンドへ臨みたいです」。極限の状況でのスーパーショット誕生は、いかに精神面が充実しているかの表れだ。どん底を体験した今夏から這い上がった。当時の苦悩と比較すれば、おのずと現在の幸福度がわかる。