2024.9.15
岩井明愛が「勝たなくていいや」で大逆転、通算6勝目
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
JLPGAツアー2024シーズン第27戦『第55回住友生命Vitalityレディス 東海クラシック』(賞金総額1億円、優勝賞金1,800万円)大会最終日が9月15日、愛知県美浜町・新南愛知カントリークラブ美浜コース(6,560ヤード/パー72)で行われた。4打差、3位からスタートした岩井明愛が8バーディー、ノーボギーの64をマークし、通算16アンダーで大会連覇を達成。逆転で今季3勝目を飾った。山下美夢有は1打届かず、通算15アンダーで2位。天本ハルカが通算11アンダーで3位に入った。
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《グリーン=スティンプ:9 1/4フィート コンパクション:22mm》
岩井明愛にとっては今季3勝目、そして通算6勝目にして初めての大会連覇である。昨年の自身の優勝スコアを1打上回り、「コースとの相性がいいのだと思います。景色がきれいです。特に最終18番。ギャラリーの方々が集まっているグリーンの方向へ真っすぐ、ティーショットを打つ時の景色が好きです」と頬を緩める。
もっとも最終日のスタート時点では、首位の山下美夢有に4打差をつけられていた。「『勝とうと思わなくていいや』と考えました」と明かす。前週の公式競技「ソニー 日本女子プロゴルフ選手権大会」で、首位に3打差の2位で迎えた最終日に75を叩いてしまったことから、「前週は『勝たなくてはいけない』と自分で自分を苦しめてしまった。今週は気楽に行くことにしました」という反省があった。
しかし、いきなり1番から3連続バーディー。想定以上のロケットスタートを切り、8番で山下に追いついた。ここから2年連続年間女王の山下と、しびれるようなデッドヒートを展開する。続く9番で山下に突き放されるも、13番のバーディーで再び並ぶ。こうして、勝負の15番パー5を迎えた。
フェアウェイから2オンを狙い3Wを振るった打球が、グリーン右のカート道付近へ飛び込む。アプローチも「思ったよりも転がり過ぎて」4メートルオーバーした。下りの難しいラインが残ったが、それでも「勝つためには入れなければいけない」と意を決し強めに放ったパッティングが、見事にカップイン。この日初めて、右拳を握りしめてガッツポーズを見せた。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
16番でもう1度山下に追いつかれるも、17番で4メートルのバーディーパットを沈めて一歩前に出た。もともとパワフルなショットが身上だが、この日はパッティングが冴え渡っていた。常にあっけらかんとした表情と、勝負強さのギャップも魅力。「バーディーパットなどで、『これを入れたら追いつける』と考えたりすると、自然に笑顔になれるのです」といたずらっぽく笑った。
そして「景色が好き」と言う18番では、ティーショットがフェアウェイ左の池の近くまで転がり、一瞬ヒヤリとしたものの、最後はウイニングパットとなる1メートルのパーパットを決めた。両こぶしを突き上げて歓喜に浸る。「美夢有さんは、最後の最後まで隙がなかった。少しでも気を緩めたら、どうなるかわからなかった。ですから、優勝を意識したのは18番だけでした」。2年連続賞金女王が発するプレッシャーから、解放された瞬間だった。
双子の妹・千怜と並ぶ通算6勝目でもある。一瞬「あっ、そうですね。全く気にしていなかったです」と戸惑った表情を浮かべた後、「私にとって千怜は、2人で競い合えて、高め合える存在。素直に6勝と6勝で並べたことがうれしいです」と満面に笑顔が広がった。切磋琢磨しながら、2人で世界トップレベルまで駆け上がっていくはずだ。
(宮脇 廣久)
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
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