2017.4.30
final day プラスワン~武尾咲希~
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
サイバーエージェント レディスゴルフトーナメント グランフィールズ カントリークラブ(静岡県)最終日
何かが違う。さて、それがわからなかった。1対1で相対すると、微妙な変化がわかる。女子力がアップ。「ピンクのチークを、今シーズンから入れるようにした」という。わずかなことが大きな波を呼び込む。それは、ゴルフも同様だ。
今季、武尾咲希は8試合で2つのイーグルを奪っている。プロテスト合格の15年、翌16年がそれぞれシーズンで各1個。前半で倍増だ。昨年までの平均飛距離は、約220ヤードだが、今季は平均で240ヤードになった。飛ばし屋の穴井詩との練習ラウンドでは、互角以上の時が…。
「肩甲骨の可動域を広げるため、チューブを使ってトレーニングすることを取り入れた。それから、股関節の柔軟性をアップさせる目的で、メディシンボールも使います。とても地味な運動ですけど結構、つらい。ただ、怠けずにずっと続けているから全身が使えるようになって、飛距離が伸びた、と思う」。
かつては、ゆるキャラと仲間内から呼ばれていたが、そのおもかげはなし。厳しい勝負の世界へ身を投じ、石の上にも3年ということだろう。一方で、イーグル量産、成績安定の秘密は、今季から外国人キャディーを帯同したことも大きい。
「日本人同士なら、阿吽の呼吸で通じることもそうはいきません。自分の意見をはっきりと言葉にする。1ショット毎に、私は○○で打つ、と宣言してから、アドレスへ入るようになった。おかげで迷いがない。思い切りが良くなったことも、イーグルやバーディーが増えた要因でしょう」と分析する。
この日は、福島の自宅から父・智さんが応援に駆け付けた。「仕事の関係で試合を見られる日が、かなり限られる。成績がいいからコースへ来るわけではない。元気にプレーしている姿を見たいだけですよ」。ちなみに、武尾は、「父が来ると不思議と成績がいい」。前日とは一変し、6バーディー、1ボギーの67をマークした。最終日のベストスコアだ。
今シーズンの目標は、優勝や賞金シード権の獲得など複数あるが、ユニークだったのは、「ホールインワンを」。アマチュア時代3回、達成しているものの、プロになってからは皆無である。今大会で、2017年初のトップ10フィニッシュをクリアした。「次週は公式戦。あの大会はまだ1度も、予選通過がない。頑張ります」。その表情は、ゆるキャラの面影などみじんも感じられない。正真正銘、ツアープロの顔になっていた。
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