2017.5.12
アマチュアの平塚新夢が史上5人目の快挙達成 ステップ・アップ・ツアー初優勝
<Photo:Ken Ishii/Getty Images>
2017年LPGAステップ・アップ・ツアー第5戦『静ヒルズレディース 森ビルカップ』(賞金総額2,000万円、優勝賞金360万円)の最終日が茨城県常陸大宮市の静ヒルズカントリークラブ(6,388ヤード/パー72)で行われた。首位と4打差の3位からスタートしたアマチュアの平塚新夢が71をマークし、通算4アンダーで安納昭江とのプレーオフへ突入。プレーオフ1ホール目で5mのパーパットを沈めた平塚が、ステップアップツアー史上5人目となるアマチュアでの優勝を飾った。通算3アンダーの3位には、2試合連続優勝を逃した谷河枝里子が入った。(天候:晴れ 気温:25.1℃ 風速:1.1m/s)
プレーオフ-。これほど痺れる場面で、果たして何人の選手が笑顔を作れるだろうか。しかし、確かに彼女は笑っていた。
2000年生まれの高校3年生、アマチュアの平塚新夢は、自身を「昔から元気で人見知りするタイプじゃない」と分析する。確かに常にニコニコしている姿が印象的で、誰と喋っていても尻込みしない肝が据わったタイプだということもわかった。というのも表彰式を終え、率直な感想を尋ねると、開口一番に「耐えました」。それから続けて「というか嬉しいです。とても」と。経験豊富なプロを相手に堂々のプレーを展開し、プレーオフの末、勝利したにもかかわらず、第一声が喜びよりも「耐えました」とは思わず虚をつかれてしまった。
プレーオフにしてもそうだ。大きく左に曲げたセカンドショットは、本来のギャラリーロープの外まで出てしまうミスショット。普通の人間ならガチガチに緊張して頭の中は真っ白になってしまうところだろう。「やっちゃったーと思いましたね(笑)」と3打目地点に向かう平塚の表情は、心の底からリラックスしているように感じられた。「絶対にパーを取ろう」とスイッチを切り替えると、一瞬で真剣な眼差しに変わり、アプローチをピン下5mにつけると、先にパーパットを外した安納を横目に、しっかりとパーパットを沈め、優勝を決めた。ここ一番での集中力、切り替えの早さ、雰囲気に飲まれないメンタルの強さ、どれを取っても高校生離れしている。
ステップアップツアーで優勝したのも束の間、明日からは関東ジュニアの予選会を控えている。「一発勝負なので、そっちの方が緊張するかも……」と無邪気に笑う平塚を見ると、なるほど、やはり高校生だなと痛感した。連戦は続くが、今週末の母の日を前に、「いつも支えてくれるのは親なので、これで恩返し出来たっていうのもあります」。ステップアップツアー史上5人目となるアマチュア優勝という偉業こそ最高のプレゼントになったに違いない。
「プロになってレギュラーツアーでどんどん活躍できる選手になりたい。ゆくゆくは、全米女子オープンや全英女子オープンにも立ってみたい」と、今後のビジョンも固まりつつある平塚新夢。今大会の大会コンセプトは「育む」。アマチュアのうちに、ステップアップツアーで優勝し、これからも笑顔で成長していくことだろう。彼女の「新」しい「夢」は、もう始まっている。
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