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2017.5.14

final day プラスワン~笠 りつ子~

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

ほけんの窓口レディース 福岡カンツリー倶楽部 和白コース(福岡県)最終日

 クラブハウスを挟み、コースと正反対にある練習場で、笠 りつ子が必死にボールを打ち続けていた。し烈な優勝争いではない。スランプ脱出のきっかけをつかむためだ。ワールドレディスチャンピオンシップに続いて、2週連続の予選落ち。16年、ツアーを盛り上げた主役の1人が苦しんでいる。「人間、光と影があるでしょう。去年のように、プレーがかみあわない。体の調子が悪いとか、そんなことはありません」という。

 奇遇にも、ライバルのイボミまでが、どん底にあえいでいる。2人がいない最終日は「さびしいね」と多くのギャラリーが口にした。キャディーをつとめる父・清也さんは、「開幕から、調子がすごくいいとは感じなかった。2メートルのパッティングが決まらない。それが原因で、アプローチでピンに寄せようとする。その結果、アプローチまでいまひとつになったのかもしれない」と分析した。

 とはいえ、笠家の流儀は、「コースを出たら、ゴルフの話は一切、しない。もっとも、りつ子はアドバイスに耳を貸すことはない。自分で苦しんで、自分で這い上がってくる選手ですよ」。前週は、予選落ちの後の2日間は、気分転換に休むのではなく、別のコースでラウンドを行った。そして、今回は、ドライビングレンジ、練習グリーンで、アプローチ、パッティングを精力的に。

 「練習あるのみでしょう。今は、とにかくやるしかない」と、つとめて明るく話していた。自分にはとにかく厳しい。でも、ファンなどには、とてもやさしく接する。この日も練習を終えると、即席でサイン会を。また、こんな話をしてくれた。熊本の実家は16年の地震で大きな被害を受け、建て替えが急務。業者が大忙しで今、申し込んでも、着工が来年以降になるそうだ。

 「家族で話しているのは、2匹の猫のことです。私たちは、新しい家に住みたいけど、犬は人につき、猫は家につくというでしょう。もしも、家を新しくしたことで、猫たちに何かあったら…。それなら、不便を我慢した方がいい、と考えている」。何とも、心温まるエピソードだ。

不調の要因を取材しに行ったはずが、「私は元気です。もうちょっと待っていて。それよりも、最近、やせたのではないですか。季節の変わり目だから、体調に注意してくださいね」と、こちらが励まされる。とても有難かった。

 そんな気配りの人へ、ささやかな返礼を。過去のデータを調べていたら、2014年も、ワールドレディス、ほけんの窓口で2週連続の予選落ちを喫したが、次週の中京テレビ・ブリヂストンレディースオープンで、2位タイに浮上した。不調で騒がれたら、一流の証明といわれるのが、スポーツの世界。光と影のはざまで、努力を続けている。

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