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2017.10.28

2nd day プラスワン~樋口久子~

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント 武蔵丘ゴルフコース(埼玉県)2日目

 プロ50年の軌跡。文字で表現すると、「平常心」に集約されている。強くなっても、記録を残しても、常に両親の教えが生きていた。「プロゴルファーになって、勝負の世界へ身を置くようになった。しばらく、自宅から試合へ通っている時のことですね。母が、優勝して帰宅すると、おめでとう-といった後、たくさん勝っても自分が偉いと思ってはいけない。人には頭を下げる。プロよりも、人としてしっかりやりなさい。繰り返し、繰り返し、そう言われました」と振り返った。

 この日のクラブハウス。選手と顔を合わせると、笑顔を浮かべて「おはようございます」と声をかけていた。レジェンドと呼ばれるようになっても、礼節を大事にする。人生の大先輩は、若い選手の見本だった。それを気が付くかどうかは、もちろん、個人がどうとらえるかだろう。「仕事の始まりはあいさつから始まります。おはようではない。おはようございます。先輩には、ございます、とつけても、後輩にはおはよう、だけ。誰に対しても、おはようございます、とあいさつをします。これが、私の流儀かなぁ」。

 今大会は、自身の名前が冠につく。大会名誉会長の役職だ。「感謝だけでは言葉が足りません。とても名誉なこと。これまでたくさんのスポンサー様、関係者、それからファンに支えられ、本大会を開催していただきました。大会名に自分の名前がつくことは、とても名誉なことです。かつて、私の師、中村寅吉先生の名が冠についた試合があった。先生の後に、そんな名誉によくすることができ、弟子としてとても幸せな気分です」と語っている。

 1983年にスタートした、紀文レディースクラシックが今大会の前身だ。その第1回大会で、樋口が優勝を飾る。ツアー通算60勝。「節目ということもあって、優勝賞金を全額寄付することにしました。贈り先を探していると、当時の紀文・保芦社長が多摩市にある、重症心身障害の施設、島田療育園へご寄付を続けている話をうかがい、私も力になりたい、と思いました。そのご縁で、97年から私の名前をつけてくださったのです」。

 大会2日目の競技が終了すると、樋口はパターを携えて、コースへ向かう。最終日のピンポジションを想定し、チェックを行う目的だ。ツアーを転戦した頃から、細心の準備を行うのがルーティン。テレビ解説者になっても姿勢は変わらない。「試合に出ていた時は、どんなにコースを熟知していても、公式練習日は必ず、ラウンドをした。2日あったら2日間。3日なら3日間、すべてを確かめた。テレビの解説も同じですよ。確かに、私が戦っているわけではない。でも、自分がプレーしているつもりで、お話をしたい。気をつけることは、公平であること。たくさんのゴルフファンへ、選手の素晴らしさを伝えられたら。そう思って放送席へ座ります」と話した。

 準備といえば、学生時代、こんなことも。試験が近づくと、仲の良い友人5人で放課後、猛勉強したという。「ヤマをかけるということですね。そういえば、日本史のテストで、こんなことが…。友人が100点をとった。返された答案をみると、私も100点であってもいい。しかし、なぜか、95点。先生に理由をうかがうと、君は文字がねぇ。練習は当然ですけど、丁寧に文字を書くようになった。何事も隠れて、勉強です」。見えないところで努力を重ねる。すなわち、平常心。座右の銘とは、そういうものだ。

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