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2018.7.15

有村智恵 涙と汗の復活V

 LPGAツアー19戦『サマンサタバサ ガールズコレクション・レディーストーナメント』(賞金総額6,000万円、優勝賞金1,080万円)大会最終日が7月15日、茨城県稲敷郡阿見町・イーグルポイントゴルフクラブ(6,588ヤード/パー72)で行われ、有村智恵が6年ぶりの復活V。通算13アンダーでツアー通算14勝目をあげた。2打差の11アンダー、2位タイは青木瀬令奈、沖せいら。(天候:晴れ 気温:32.9℃ 風速:2.6m/s)

 涙と汗。スポ根の世界をイメージさせるようなひとことが、強烈なインパクトになった。優勝会見で、有村智恵は水を飲み干すと、「暑かったです。きょうの18ホールで涙と汗が全部出た」。

 18番、52度で、残り96ヤードの第2打を2.5メートルにつけた。当然ながら、首位に立っていることは、わかっている。「グリーンに上がった時、1打のリード。これを決めれば、ほぼイケる。よしっ、決めよう。のぼりのあまり切れないスライスラインでした」。ボールに復活の魂が宿った。カップインの瞬間。優勝から遠ざかった6年間が、脳裏にプレーバックされた。「長い日が、終わったことを確信した時です」と表現する。

 スランプの発端は、2011年夏。左手首を痛めたことが原因だ。「12年は、(左手首痛を)ごまかしながらプレー。その後、アメリカツアーへ挑戦し、今度は飛距離アップを猛烈に意識した。飛ばしたい、という力みが入り、負のスパイラルに陥った」と説明する。どん底は、13年10月、韓国で行われた試合。「どんなに手をつくしても、ボールが思い通りにいかない。試合会場へ行くことがイヤでたまらなかったし、練習場へ行くときも体が動かない。精神的につらい。ラウンド中、涙を流しながらプレーした」と明かす。

 さらに、複雑な心境を激白する。「自分を信じてプレーする。ところが、期待に応えられずガッカリすることの連続。そのうちに、どうせダメだ。そんなあきらめが最初に来る。しばらくすると、がっかりもしなくなる。心が病んだではありません。私の、心が死んでいたのだと思う。試合で、どうせ勝てないのではないか。自分に期待できない日々が、ずっとずっと続いていました」という。

 左手首の故障が良くなってきても、葛藤が続く。「ショット、アプローチ、パッティングまで、インパクトが怖くて、打ち込むことができない。体が拒絶するから。ゴルフで結果を残せない私は、いったい周囲からどう映っているのだろうとも考えました」。壮絶な体験談の連続に、聞いているこちらが息をのむほどだ。米ツアーから撤退。再び、日本で再起を選択する。ただし、すぐに結果が出るものではない。

 手応えがあったのは今シーズン。「ほけんの窓口レディースで、4位。どうせダメから、優勝は遠くない。そんな気持ちの変化が…。そして、サントリーレディスでもう1度、優勝できることが確信に変わり、きょうを迎えた」と話す。一方で、「若い頃より、今の自分がいい。メンタル、テクニックが。グリーンまわりなど、うまくなっていますからね。私はもっと伸びます。若い世代のカベになる」と宣言した。

 一方、日本への感謝の気持ちを改めて表す。「世界中で、これほど恵まれたツアーはありません。ギャラリーの皆さんがたくさんいらっしゃるし、これだけのメディアの皆さんも足を運んでいただいています。女子スポーツで、これだけのポジションを得ているものは、おそらくないでしょう」。通算14勝目は、新たなプロローグとなった。

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