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2019.9.29

柏原明日架 退路を断って念願の初V

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 LPGAツアー第30戦『ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンゴルフトーナメント』(賞金総額7,000万円、優勝賞金1,260万円)大会最終日が9月29日、宮城県利府町・利府ゴルフ倶楽部(6,505ヤード/パー72)で行われ、プロ6年目の柏原明日架が通算10アンダーでLPGAツアー初優勝。通算8アンダー、2位はペソンウが入った。渋野日向子はイーブンパー、22位タイ。(天候:曇り時々晴れ 気温:25.6℃ 風速:2.7m/s)

 チャレンジ。柏原明日架は立ち向かった。悲願の優勝を確信したのは、「15番(パー3)でティーショットを打ったあと」とも。時間にしてみれば、わずか数秒でも、ここがゴルフ人生をかけた大勝負だった。

 「ピンまでは170ヤード。風がフォローでした。アドレナリンが出ていたのでしょう。7Iでグリーンをキャリーオーバー。でも、気持ちはピンへ向かっていた。とにかく、強気に。忘れられない1打になるでしょう」と瞳が輝く。グリーン左に池があるロケーションが、トラウマになっていた。2015年日本女子オープン最終日である。プロ2年目、公式競技で初の優勝争い。しかし、片山津ゴルフ倶楽部の17番、左の池につかまった。

 「あの時から、順位にかかわらず、左に池があると、悪いイメージばかりが浮かんでくる。きょうも、そうでした。ただ、今回、自分に勝たなければ-と何度も言い聞かせ、前向きにトライできたと思います」。このホールをパーでしのいだ。それだけに、ボギーに終わった17番でも動揺することはなし。

 ようやく、夢にまでみたシーンがやってきた。「18番のスコアボードの一番上に、私の名前がある。ゴルフを始めた時からの夢。素晴らしい気持ちをかみしめながら、グリーンへ上がっていった。ただ、ウイニングパットを打つとき、震えましたね」という。最終日。ギリギリの状況へ自身を追い込んだ。「きょう、やらなければ多分、もう勝てないのではないか。そういう気持ちで戦うことを決めていた。強気でいかなければならない。特に、パッティングは」。

 少し、遠くを見るような目線を浮かべ、ひと息入れた後、続けた。「最終日、パッティングでショートしたところは1度もなし。また、後半の9ホールは、パッティングだけではなく、ショットやショートゲームなども、しっかりと攻めることができた」と頷く。初Vのうれしさというより、表情には充実感がうかがえた。

 18番のグリーンサイドには、同郷の大先輩、大山志保が。「どうして勝てないのでしょう。そんな質問を何度かしました。その時、志保さんは、1勝目のスピードではない。ゴルフをやめたときに何勝したかが大事とおっしゃった。さらっとした表現でも、どれほど力になったでしょう」と感謝を込めて伝えている。

 一方、今シーズンの変化といえば、選手の心境などを綴った、記事を熟読するようになった。「渋野日向子さんのコメントを拝見すると、ネガティブなことも話しているのは、意外です。だから、気持ちのコントロールがすごく上手だと想像しました。毎年、最終プロテストで合格した新しい選手が増える。上をみれば、手ごわい先輩方がたくさん。私が掃き出されてしまうのではないか。そういった不安をずっともっている。だから、練習を続けます」と改めて誓った。

 というわけで、思い出の次週は「火曜日からしっかり調整します。高校生の時、プレーしたことがあるコース。ただ、きょうだけは優勝の余韻を味わいたい」。その気持ちが痛いほどわかった会見だった。鉄は熱い内に-次のターゲットは、もっとも難しいと指摘される通算2勝目。

(メディア管理部・鈴木 孝之)

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