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2013.9.12

日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯 1日目

被災地へ贈る、プロ初V
酒井美紀、プロの流儀で難コースへ挑戦

 LPGAツアーの公式戦『第46回日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯」(賞金総額1億4,000万円、優勝賞金2,520万円)が9月12日、北海道恵庭市の恵庭カントリー倶楽部(6,682ヤード/パー72)で開幕した。

 大会1日目、6アンダーの66をマークし首位に立ったのは、プロ4年目の酒井美紀。2打差の4アンダー、2位タイには吉田弓美子、一ノ瀬優希、イボミ(韓国)の3名。ディフェンディングチャンピオンの有村智恵は、イーブンパーの25位タイ発進となった。 (天候:曇り、気温:23.4℃、風速:1.5メートル)


 大会初日、コースにはサプライズが待っていた。それこそ、「じぇじぇじぇ」の心境だ。前日までの雨の影響で、フェアウエーでランが出にくい。その結果、2、11、14、15番のティーグラウンドを前方にすることを決定したのが、この日の朝だった。酒井美紀のやる気が倍増したのはいうまでもないことだ。なぜなら昨日の夜、その4ホールは「ボギーを覚悟する」と前日の夜に自分で決めていたから。「とにかく、フェアウェイをキープして、グリーンへボールを乗せることだけを考えた」。スタートから、パーを積み重ね、チャンスが来るのを待つ。それが、初めて訪れたのは、6番(パー5)。2メートルを沈めると、さらにショットの精度が上がる。続く7番(パー4)でも6メートルバーティーパットが、カップへ吸い込まれた。勢いはこれだけでは止まらない。8番(パー3)では、3メートルのバーディー。

 インに入っても、的確にフェアウェイをキープして、4バーディーを奪う。最終18番では惜しくもボギーとしたが、ほぼ完ぺきな内容だった。「公式戦で、しかも私がトップ。本当にビックリしました」と笑顔をみせる。前夜の家族会議で、父・正孝さんから、「ここは優勝を狙えるコースじゃない、といわれました。目標は20位以内です」とも。ただ、ひょっとしたらの予感が、少しだけ自分にはある。「北海道に来てから、すごく調子がいい。芝が合っているんでしょうか。きれいにターフがとれるので、アイアンショットが楽しい。しっかり打ち込むことができるから、精度がかなり上がりました」。なるほど、酒井がフェアウエーからの2打目を放つと、厚切りのステーキのような芝が、宙を舞う。その景色は、トッププロでなければつくることができないものだ。


 一方、身長165センチ・78キロの体形から「ウソでしょう」といわれるほど、ティーショツトの飛距離が少ない。平均は230ヤード。ただし、中学時代には、「260ヤードぐらいを飛ばしていました」。飛ばないのではなく、飛ばさない。「飛距離を出そうとすると、どうしても曲がる。プロになって、精度で勝負すると決めました。それから、私はアイアンが大好き。切れ味というか、シュッというあの感じがいい」というのが、酒井版・プロの流儀なのだ。

 その思いがより強くなったのが、2011年の東日本大震災。実家は、福島第一原発から直径距離で約60キロのいわき市内。幸い、大きな被害はなかったが、「自分でもっとできることはないか」と考え続けた。ところが、千葉で開催される試合などでは、見ず知らずのギャラリーから何度も「福島から応援にきました」と声援を受けた。だが、優勝の2文字で返すことができないことが、歯がゆい。


 福島県出身のLPGA会員は、小林浩美会長をはじめ17人。とはいえ、シード選手として、ツアーの第一線で活躍するのは酒井ひとりだけだ。「福島の人は、とにかく辛抱強いと思う。それに比べたら、私がコースで耐えることなど比較にはなりません。もし、いい成績があげられたら、それはジュニア時代から応援していただいた皆さんのおかげだと思います」。

 汚染水などの被害はいっこうに沈静化する気配がないことも、酒井の悩みだ。「もし、勝つことができたら、賞金をすべて被災地へ寄付をしたいけど、実家が経営するゴルフ練習場が、震災でかなりの被害を受けました。そちらを、まずは直してしまわないと…」と、申し訳なさそうに語っている。残り、3日間の忍耐の後には、「じぇ」の数がいくつに増えるか。サプライズは、まだまだ終わらない。


イボミ (2位タイ:-4)
「昨日の雨でグリーンが止まりやすくなっていたので、ノーボギーで回れました。今年はまだ優勝がないし、良いスタートを切ることができた今回は、なんとか、と思っています」。

吉田弓美子 (2位タイ:-4)
「去年の大会では、公式会見で大泣きしてすみません。今、ゴルフの調子は、安定しているというか、思ったプレーができていると思います」。

一ノ瀬優希 (2位タイ:-4)
「きょうは全体が良かったです。残り3日間も我慢のゴルフに徹します」。

永井奈都 (5位タイ:-3)
「内容を振り返ればデキすぎでした。パーオンは半分のホールだけ。今日は、昨日の雨でティーグラウンドが前に変更されたのが良かったみたいです。一番長いバーディーパットが決まったのは、14番でした。3パットをしないように気をつけていたら、15メートルが入りました」。

ウェイユンジェ (5位タイ:-3)
「今日はショットが安定していて、前半からチャンスがたくさんあった。でも、あとひと転がりが足りない。昨日の雨を思い出した後半から、タッチを強めにしたことがスコアにつながりました」。

横峯さくら (11位タイ:-2)
「毎ホール、目の前の一打を大切にしました。今大会は、とにかくティーショットをフェアウェイに置くこと。ラフへ入れたら、ボールが沈んでしまいますから…。このタイトルをとりたい気持ちが強い。でも、3日間を終わって優勝争いに加わっていないと、そんなことをいっても意味がありませんね」。

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