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2020.1.7

鈴木愛~うぶだし・エピソード②

<Photo:Atsushi Tomura/Getty images>

 言霊は本当にあるんだなぁ。教えてくれたのは、2019年の鈴木愛だった。一見、ハデに見られがちでも、大言壮語は決して口にしない。2度目の賞金女王のタイトル獲得が顕著な例である。絶体絶命の大ピンチから起死回生の大逆転。シーズン終盤、公の取材では語ることがなかったことだが時折、立ち話になると長期的な目標として、『永久シード』を口にすることが、ちらほらあったことを思い出す。

 関係者の間では、日本人選手の永久シード獲得は「不動裕理さんを最後に出ないのでは…」と、まことしやかに語られていた。「なかなか難しいことだと思いますよ。それだけに、チャレンジのしがいがある。30歳までには30勝をしたい。永久シードをいつかは-と密かに考えていました」という。現実に意識したのは、「通算10勝目をあげた、ヨコハマタイヤゴルフトーナメントPRGRレディスカップからです」と、改めて教えてくれた。

 2013年、最終プロテストで合格してから、今季は8年目のシーズン。我が道を行くがごとし−である。昨今、コーチをつけることは、プロゴルファー当然のスタイル。ところが、あえてコーチはつけない。チームではなく、あくまでゴルフを個人競技ととらえているからだ。というのは、「わかりやすくいってしまうと、私に合った人がいないからです」。さらに、話が続く。

 「シーズン中、各試合でいろいろな指導者がいらっしゃる。当然、パッティンググリーンや、ドライビングレンジなどで指導を受けるわけです。練習場で選手は並んで打つわけですから、いろいろなコーチの指導が聞こえてくる。こうなるから、こうした方がいい。そういうことが…。だけど、教わる立場だったとして、納得するだろうか。私は論立てて、プロセスから結果を話してもらえないと、わかりません」という。

 その上で、「コーチをつけなくなったのは、修正力を身に着けることが目的。ゴルフは、ちょっとしたことで調子が悪くなる。もし、プレー中だったらどうでしょう。コーチに頼っていたら、どう直していいかわからない。以前の私は、とても修正力が低かった。16年から、1人になったのは、考えながらプレーをしなければ成長できないと感じたからです」。

 そうはいっても、好不調の波は常に訪れる。「感覚で悪いとわかっていても、具体的にどこが悪いのかわからない時もあります。そういう時は、客観的に悪い点を指摘してもらう。用具契約先の担当の方から、ご意見を頂戴します」と、照れくさそうに語った。聞く耳と抜群の理解力。ゴルフ脳である。「いわれるままにやりたくないでしょう」が、プロフェッショナルの矜持だ。そうでなければ、永久シードなどとは、口に出せない。

=つづく

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