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2020.1.10

鈴木愛~うぶだし・エピソード⑤

<Photo:Atsushi Tomura/Getty images>

 ゴルフはリズム。学生時代、得意の教科を質問すると、意外といっては失礼ながら、「音楽」だった。「笑わないでくださいね」と前置きして、「リコーダーが得意でした。さすがに、今はまったくやっていないけど、大好きな曲を覚え、リコーダーで吹く。楽しかった。歌うことも好きです。音楽の時間、本当に楽しみでした。うふふ…」。

 スイングもまた、リズムである。自身のスイングを、「すごくシンプルになったと思います」と、ひとことで評した。その変遷について語ってもらおう。スイングは生き物だ。極端な話になると、体調によって変化する。それほど、デリケート。「元々、私はドローヒッターでした。ただ、プロになってからフェードを打つように…。クラブをインに引いて、アウトから打つ感じかなぁ。自分のイメージからすると、そうです」と解説している。

 2016年まで、そんなスイングだった。しかし、変化は突然に訪れた。17年シーズン開幕直前のことだ。オリンピック強化指定選手の合宿を行った際、倉本昌弘強化委員長から、「絶対、ドローで行くべきだ」とアドバイスを受ける。結果として、これが福音だった。

 「少し、迷いはあったけど、ドローで勝負することにした。でも、決断したのは、開幕戦の前週。よく決断したなぁ。あのアドバイスがターニングポイントになりました」。この、思い切りの良さに脱帽する。勝負師の勘がそう知らせたのか。結果からすれば、この年、賞金女王に輝いたのだから大正解。

 もうひとつ、大きなプラス材料があった。「ダウンブローでしたから、手首などにかなり衝撃を感じていた。負担を軽減する上でも、ドローへ戻して正解だったのかもしれませんね」と話した。ところで、20年版スイングはどんな変化を遂げているのだろう。

 「もっとシンプルになった。クラブを自然にまっすぐあげていって、まっすぐおろす。そういう感じにより近づいた。でも、調子がいまひとつだなぁと思ったら、フェードボールを入れて、調整している。機械的にではなく、感性です」。ドローヒッターへの変革で、2度の賞金女王を手中にした。

 話題は再び、学生時代の勉強に。「そういえば、数学も好きだったなぁ。それから、体育も楽しかった」と改めていう。口ずさめないメロディーは弾けない-が音楽の鉄則だ。ゴルフはリズムのスポーツ。リコーダーを懸命に取り組んだことが今日に生かされた。なるほど、人生にムダなどはない。

=おわり

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