2014.9.12
日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯 2日目
あこがれの藍を超えるか
単独首位に立つ20歳、鈴木愛が挑む大会最年少V
2014年度LPGAツアー公式戦『日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯』(賞金総額1億4,000万円、優勝賞金2,520万円)の2日目が、兵庫県三木市の美奈木ゴルフ倶楽部(6,645ヤード/パー72)で行われた。
2位タイからスタートした鈴木愛が5バーディー・ノーボギーの67をマーク、通算7アンダーで単独首位に立った。4打差の2位に穴井詩が続き、通算2アンダーの3位タイグループは成田美寿々、イナリ、申ジエの3人。ディフェンディングチャンピオンのイボミと、黄アルムが通算1アンダーの6位タイで続いている。(天候:晴れ、気温:25.5℃、風速:4.3メートル)
心技体が整えば、このスコアも当然の結果。67をマークした鈴木愛は一躍、時の人となった。
魅せたのは18番。ティーショットが左バンカーへ入り、あごが邪魔になって、出すだけだった。ボギー覚悟で挑んだ第3打を1.5メートルにつけて、パーをセーブ。この日、ただ一人のノーボギーというおまけまでつく。「今日のプレーは自分でもびっくりしました」と目を丸くしていたが、これはかなり控えめな感想だった。
宮里藍にあこがれ、小学5年生でゴルフをはじめた当初から、負けん気は人一倍。いや、「人の3倍はあったかもしれない」と母の美江さんは振り返る。男子が相手でもドライバーの飛距離など、平気で勝負を挑む。そんな性格は高校を選択した際にも表れた。複数の誘いがあり、選んだのはゴルフ部ができたばかりの倉吉北高校。
「私が初代なので、自分のやりたいようにできる。団体行動は得意じゃないから」。ちなみに、1年目の部員は、鈴木の他は男子が1人だけだった。当初の半年間は徳島の両親の元を離れ、寮生活を送ったものの、「プロを目指すためには、両親のサポートが必要。掃除や洗濯の時間を練習にあてたいからです」。この申し出を快諾した両親は、三代続いた製材業をあきらめ、長女の元へ駆けつけた。美江さんも倉吉北高の食堂で働くようになったという。
プロに向く資質を兼ね備えていたのも確かだ。抜群の記憶力。コースは1度回っただけで、レイアウトなどがスッと頭に入る。使用クラブや距離に加え、一緒にプレーした選手の内容までしっかりと覚えてしまう。当然、教えを受ければ飲み込みも速いというわけだ。
ビギナーの時から指導を続ける南秀樹コーチが今大会、香川から駆け付けた。初日のスタート前、気を引き締めさせる意味であえて、厳しいアドバイスをする。
「トップ合格できなかった、リベンジを忘れるな!」
奇しくも、今回の美奈木ゴルフ倶楽部は、昨年のプロテストの開催コース。合格はしたが、目標は果たせなかった。初日の2アンダー発進で、まずはその第1目標をクリア。それだけに、この日のスタート前には、余計にハードルが高くなる。
「てっぺんしか、いらん!!」 乗りに乗っている鈴木は、一気に首位を奪って最高のパフォーマンスで応えてみせた。こうなると、プロゴルファーという職業を知るキッカケとなったあこがれの存在、宮里藍が2006年大会に打ち立てた21歳83日という、大会史上最年少優勝記録の更新が現実味を帯びてくる。もし鈴木が優勝すれば、20歳128日だ。
「プロになってから2年以内で優勝することが目標です」。すでに、ステップアップツアーで2勝を飾ったが、レギュラーツアーでは未勝利だ。決勝ラウンドを前に、2位に4打差をつけたが、「今回は優勝とか、あまり考えていない。とにかく落ち着いてプレーをすることを心がけている」と無欲をアピール。ところが、傍らで、南コーチがこんな言葉を耳打ちしている。「最初は、まぐれから始まる」。そのひとことに、鈴木は笑みをうかべて頷いた。
3バーディー・2ボギーでスコアをひとつ伸ばしただけだが、この日の穴井詩にとっては確かな手応えを感じたラウンドだった。
初日は早朝スタートで体調がいまひとつ。「とりあえず、低血圧ということで…」と話していたのは、こんな理由が―。
「公式戦というより、今回はプロ日本一を決める試合。特別な思い入れがある。プレッシャーというよりも、ワクワクして感情が昂っていたのかもしれません」。そのせいか、プレーの内容をはっきり記憶していなかった。にもかかわらず、2位タイと好発進できたのは、今回へ賭ける強い意志の力が働いたからか。「使えるホールはすべてドライバーを使います」。最大の武器である飛距離をアドバンテージとして、公式戦の難コースへ挑戦するのが、いかにも穴井らしい。
一方で、「今日はピンの位置が難しかったせいか、考えすぎて逃げの方向へ気持ちがいった」と反省の言葉を口にする。考えすぎることは、マイナスにつながるという。「ラフへ入るのがイヤだと一度でも思うと、とてもつらくなるから…。プラス思考で行きたいです」と前向きだ。
ロックのようなゴルフを目指しているのは、音楽好きのお父さんがつけた『詩』という名前が影響しているのだろう。「音楽はアイドル系からロックまで何でもオッケー。コースへ向かう時、スタート前などは、ハイテンポの曲で自分を鼓舞する」。音楽といえば、もうひとつの目標がある。「これといって自慢できるような趣味がありません。だから、シーズンオフの時には、ギターを弾こうと思っているけど、コードFで止まっている、というより挫折中です」。
さて、穴井はツアー未勝利。今大会で初優勝という選手は過去2人いる。首位に立った鈴木を「すごいと思う」と話したが、「あと2日ある。私もいい感じ」とアピールのひとことを忘れなかった。
成田 美寿々 (3位タイ:-2)
「今日は、ちょっとボギーが多いかなと思います。でも、自分のゴルフはできています。試合では一日、4つのバーディーを目標にしている。きのうが2つだけだったから、きょうは6つが目標でした。それを上回る7つだったから、上出来です。残り2日はジワジワ上がって、最終日に逆転もいいなと…」。
イ ナリ (3位タイ:-2)
「後半の9ホールは出入りの激しいラウンドでした。2番で第2打のクラブ選択をミスして左に引っ掛けたのが原因。続く3番もそれが尾を引いてしまいました。しかし、気持ちを切り替えて、それ以降はしっかりプレーができた。最後まであきらめなかったのが、良かったと思う。今週は、とにかく頑張ります」。
イ ボミ (6位タイ:-2)
「17番までは満足できるプレーができたけど、18番のボギーが痛い。3パットのミスだから、気持ちはあまり良くないです。明日は絶対にアンダーパー。60台のスコアを出したい」。
諸見里 しのぶ (17位タイ:+1)
「今年は予選落ちが多く、崖っぷちの状態だけど、だんだんクラブが気持ちよく振れるようになってきた。いい時に比べて8割といったところでしょう。残りの2割はメンタルの部分。これからはうまくコントロールしていきたい。このコースは、フェアウェイへ打って、思い通りのプレーさえできればアンダーパーが出る。残りの2日間、とにかく食らいついていきます」。
渡邉 彩香 (21位タイ:+2)
「9番でボギーが先行したら、流れが悪くなった。10、11、12番とショートパットを外したから余計に悔いが残りますね。ただ、パッティングそのものはすごくいい。もったいないミスを無くして、しっかりと最後はアンダーパーで終われるようにしたいです」。
森田 理香子 (33位タイ:+3)
「ピンの位置が難しかったので、なかなかバーディーチャンスにつけることができなかった。でも、ショットなど調子は悪くありません。今日は、悪いものをすべて吐き出したと思って、明日は頑張りたい。そのためには、とにかくバーディーチャンスにつけることです」。
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