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2020.11.8

申ジエ 黒に込めた圧巻V

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 JLPGAツアー2020-21年・第11戦『TOTOジャパンクラシック』(賞金総額1億6,000万円、優勝賞金2,400万円)最終日が11月8日、茨城県小美玉市・太平洋クラブ美野里コース(6,554 Yards/Par 72)で行われ、申ジエが通算19アンダーで圧勝した。首位スタートから、1イーグル、4バーディーの内容で終盤、後続を一気に突き放した。さらに、この日は17年前に他界したお母さんの命日。今季2勝目、JLPGA通算24勝目(※招待選手として出場の2勝は含まない)は、忘れられない勝利となった。3打差の2位は笹生優花。鈴木愛は通算13アンダーの6位タイ、渋野日向子は通算6アンダー、30位タイだった。
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 圧倒的な存在感を示した18ホール。黒衣をまとった、申ジエが優勝をグイッと引き寄せたのは17番だった。ティーイングエリアへ上がる直前、スコアボードで笹生優花の猛追を確認する。「笹生さんが18番でバーディーを獲って、私と(16アンダーで)並んでいるのを見た」という。

淡々とした表情の裏では、闘志がふつふつと湧き上がっていた。残り222ヤードの第2打を3Wで2オンに成功。ところが、グリーン右の16メートルというロングパットが残った。「16番で、バーディーパットをショート。17番は長いパッティングでも、カップをオーバーするような強い気持ちで打った」と振り返る。のぼりのスライスラインでイーグルを決めるのは、至難の業だ。「絶対に優勝する」と気持ちを込めて、打ちだされたボールがカップヘ吸い込まれた。

 8日は、特別である。2003年、交通事故で他界した母・羅松淑さんの命日。「母のことを考えてプレーをしたら、心が弱くなる。ラウンド中はプレーに集中した」そうだ。韓国の慣習に従い、この日は上下、黒のウエアで勝負へ。また、去年からスポンサー契約する太平洋クラブで開催されたコースで、自身初のトーナメント出場だった。「関係者の皆さんが、たくさんの声援をくださった。いいプレーをすることが私の使命。すごい重圧だったけど、そのプレッシャーを楽しむことができました」と、感謝の気持ちを言い表している。

 1イーグル、4バーディーというノーボギーのラウンドは一見、完ぺきだったようにみえた。ところが、それほど楽ではなかったらしい。「きょうは、ショットの調子がすごくいい。前半、たくさんのバーディーチャンスがあった。しかし、カップインさせたい-という気持ちばかりが前に出て、パッティングはことごとくショート気味。7番でバックスイングの際、インサイド気味に引いていることに気がつき、まっすぐにした」。修正力は見事というしかない。 

 この日はルーキーの笹生優花の健闘が、より勝負をおもしろくした要因だ。10代、20代の若手がツアーを席巻。「30代(の私)も頑張っている。第1日、ご一緒した大山志保さんから、ヒザの状態が良くないとうかがっています。それでも、志保さんのパッティング、ショットはいいプレーをする-という気迫がみなぎっていました。私もツアーの先輩から学んでいる。そんな見本となるような選手になりたい」と話した。

 富士通レディース 2020の優勝で、史上最速で生涯獲得賞金10億円を突破。今季2勝目で賞金ランキングが5位へ浮上した。21年まで続く長いシーズンだが、手が届きそうで届かないJLPGAツアー賞金女王のタイトルへ少し近づいた。

(メディア管理部・鈴木 孝之)

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