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2023.1.19

春を待つ94期生~尾関 彩美悠

<Photo:Toru Hanai/Getty Images>

 コロナ禍の難しい調整を克服。2023年、プロ2年目のスタートを切る。21年11月、29.2倍という、狭き門を潜り抜けた94期生は逸材揃い-との評判が高い。

 おぜき・あみゆ=2003年6月16日、岡山県倉敷市出身

 ご本人には失礼かもしれないが、初対面で視線をくぎ付けにされたのは胸のロゴだった。ビートルズを身にまとってプレーをしている。しかも、うら若きプロゴルファー。ミスマッチにも感じたものの、ナンバーワンを目指す選手だけに、これはもう勇気と元気が100倍以上になるのではないか。

 「よく、ファンの方がすごいね-とおっしゃってくださいます。実は私、ビートルズのすごさをそれほど知らなかった。でも、注目されることはすごくうれしい。ウェアのメーカーさんがコラボしているそうです。今年も、楽しみにしていてくださいね」と、親しむひとつのきっかけがうまれる。

 もちろん、ビートルズのプロゴルファーとして、お顔と名前がすぐに記憶される利点もあった。計算したわけではないだろう。しかし、プロはこうでなければと思った。気さくな人柄と、愛くるしい笑顔もトレードマーク。

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 現在、2年目のオフは同じ岡山県出身の先輩、小倉彩愛と2人で沖縄合宿中だ。「2カ月ぐらい滞在し、みっちりやります。今年はシード選手としてシーズンフル出場できる。技術はもちろんですけど、持久力を養い、連戦でも疲れない体がほしいからです」と、話した。

 21年の最終プロテストで一発合格を果たしている。しかも、「トップ合格を目指す」と公言。「受験の前、いろいろな方へそうお話しました。言ったからには有言実行しなければなりません。本当に良かったです」と振り返る。

 22年、成績だけをみると順風満帆。とはいえ、「JLPGAツアーの出場権がなかった。各スポンサーさんから推薦をいただき、数少ないチャンスだったけど、リランキングでチャンスをつかみました。しかも、9月の住友生命Vitalityレディス東海クラシックでツアー初優勝まで…。何だが、絵に描いたようにうまくのぼっていけて、よく頑張ったと思います」と前置きし、「そうはいっても、私自身は納得のいかないことばかりでした。でも、1年目ですからまずまずかなぁ。まず、1勝しなければ、2勝目はやってこないですから」と、うまく折り合いをつけたそうだ。

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 手元には、プロテスト合格時の手書きアンケートがある。ただし、質問に対して、特になし-と明記された項が5つ。趣味、特技、スポーツ歴などだ。対照的にゴルフ歴は12年。つまり、わき目もふらず一直線にこの道を選んだ。

 「趣味といえるかわからないけど、小学4年の時、父にダンス部へ入りたいとお願いしたけど、一蹴されました。だけど、今でもダンスには興味がある。ただ、私の場合は人に見せないダンス。BTSなど韓国のアイドルの動画をみながら、部屋でそっと踊ります」と明かしている。

 続けて、「ゴルフ以外の習い事をしたことがありません。元々、一人で行うスポーツが好き。ゴルフって、本当に何年も続けていても本当におもしろいスポーツだと思います。あきない要因は、うまくいかないところでしょう。工夫を重ねながら、できた時の喜びはうまく説明はできないけど、それはもう-。しかも、突然うまくいく。優勝した時はクラブを思い切って替えたらすべてが好転していった。そんなことがたくさんあります」と、大きくうなずきながら魅力を語っている。

 独自の感性を生かし、笑顔をつくり、ファイティングスピリットを持続することが培ってきたスタイル。「たとえば、トーナメントは最終日、最終組の選手が優勝とは限りません。前にスタートしてポンと来たりして…。だから、何が起こるかわかりません」とも加えている。

 トーナメントこそ、ワンダーランド。勝負の世界は、何と奥深いことか。

(青木 政司)


<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

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