＜Photo：Atsushi Tomura/Getty Images＞

　JLPGAツアー2023シーズン第13戦『リゾートトラスト レディス』（賞金総額1億4000万円/優勝賞金2520万円）が5月25日、静岡県浜松市・グランディ浜名湖ゴルフクラブ（6500ヤード/パー72）で開幕する。24日はプロアマ大会、公式会見が行われた。

　第1日を迎えた途端、試合モードへ移行して厳しい表情を見せる選手は多いが、前日までは比較的リラックスムードを漂わせている。前週のブリヂストンレディスオープンで今季2勝目を飾り、メルセデス・ランキングのトップに躍り出た山下美夢有も例外ではない。プロアマ大会に出場した後、公式会見に臨んだが、終始にこやかな表情を浮かべていた。

　前週は大会前から「ようやく自分らしいゴルフをできるようになってきました」と、手応えを感じていた山下。その言葉を証明するかのように、2位に7打差をつけての圧勝劇を演じただけに、当然2週連続優勝の期待がかかる。ところが、「まずはしっかり予選通過できるように頑張りたいなと思っています」と相変わらず控えめな抱負に留めるではないか。

　もちろん、そのことばを額面通りに受け取るべきではない。今季は12試合に出場して全試合で予選通過。しかも、平均ストロークやパーセーブ率など6部門でトップにいる。予選通過に失敗するような隙はなく、優勝争いにどう絡んでいくかに注目が集まるし、自身にもその手応えはある。「ショットの調子は前週と変わりません」というのがその証拠だ。

　仮に山下に死角があるとしたら、それは疲れだろう。今季、初優勝を飾った富士フイルム・スタジオアリス女子オープンの翌週は20位タイに終わっている。そのときは3週連続で優勝争いした後だったが、今回もプレーオフでの2位、優勝と続いているだけに疲労はかなり溜まっているはずだ。

　今大会をグランディ浜名湖GCで開催するのは3回目だが、前回は19年のため山下は初めてのラウンドとなる。にもかかわらず、練習ラウンドをせずにプロアマ戦からラウンドしたのも、疲労を軽減したいからだろう。もちろん、たとえ1ラウンドでもしっかりとコースはチェックしたようで、グリーン上はもちろん、アプローチしにくい場所も調べたという。

　今回の開催コースは太平洋とつながっている浜名湖沿岸にあるため、もはやリンクスに近い。当然、水分を含んだ強風が吹き荒れることが予想される。その辺は山下も十分理解しており、「風が吹くので縦距離が難しくなると思うので、そこをしっかりマネジメントしたいと思います」と、警戒している。グリーンが大きいだけに、その判断を間違えるとロングパットが残るので、それを避けたい気持ちもある。

　雨よりも風の方が嫌だというプロは多いが、ボールコントロールが難しくなるのがその理由だ。選手によってその対策は異なるが、山下は無理に風とケンカしないという。「横風なら風に乗せますし、アゲンストやフォローでも無理に低い球や高い球を打とうとせず、クラブの番手を替えることで距離を調整します」。打ち方を変えるとスイングリズムが狂う危険もある。せっかく本来のリズムを取り戻しているだけに、それを失うリスクは避けたいのだろう。風とどこまでお友だちになれるか。自身初の2週連続優勝は、その1点に絞られる。

（JLPGAオフィシャルライター・山西 英希）