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2023.6.11

岩井千怜、自身初の完全Vで全英女子オープンの切符をゲット

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 JLPGAツアー2023シーズン第15戦『宮里藍 サントリーレディスオープンゴルフトーナメント』(賞金総額1億5000万円/優勝賞金2700万円)大会最終日が6月11日、兵庫県神戸市・六甲国際ゴルフ倶楽部(6513ヤード/パー72)で行われ、首位スタートの岩井千怜が通算23アンダーで逃げ切り優勝。今季2勝目、ツアー通算4勝目を飾った。申ジエ、山下美夢有が5打差の通算18アンダー、2位タイ。通算14アンダー、4位タイには木村彩子、金澤志奈が入った。
(天候:雨 気温:21.2℃ 風速:2.4m/s)
《グリーン=スティンプ:12 1/4フィート コンパクション:22.5mm》

 第1日から首位の座を守り続けた完全優勝で、2位に5打差をつけて今季2勝目を飾った岩井千怜。しかし、決して楽勝ではなかったという。「途中、申ジエさんと1打差になったときは、やっぱりきたか。でもここまで迫ってくるのが申ジエさん」。一時は6打差あった貯金が、11番・パー3では申がバーディーを奪った時点で1打差に縮まっていた。過去、何度も大逆転を演じてきた申だけに、並の選手ならそのまま追いつかれ、逆転されていたかもしれない。しかし、岩井は違った。「たとえ1打差でも焦らず、自分のゴルフをやるだけ」と開き直ったのだ。

 問題はどのようにして自分のゴルフをするか。ここで岩井はとんでもない発想をする。「ギャラリーからの歓声でわくようなゴルフをしようと。自分がピタッとピンそばにつけたら、ギャラリーはきっとわいてくれるだろう」と考えたのだ。

 すると、それまで勝手に自分で自分にプレッシャーをかけていたことに気がつく。それが原因で自分のゴルフをできずにいたのだ。積極的にピンを狙う攻めのゴルフ。それが岩井のゴルフスタイルでもある。早速、12番・パー5で3打目をピンそば2.5メートルにつけてバーディーを奪う。さらに14番・パー4では2打目を50センチにつけてバーディー。そして3打差で迎えた16番・パー3。ピンまで150ヤードを6番アイアンのハーフショットで2メートルにつける。申がこのホールでボギーを叩いたことで、一気に5打差となり、優勝を確信した。

 「ここでナイスショットできたらカッコいいと思いましたし、ギャラリーの歓声も聞きたかったです。少し左に打ち出しましたが、狙いどおりのショットでした」。

 岩井の6番アイアンでのフルショットは160ヤードだが、クラブをいつもより短く持ち、トップの位置を少し抑えたスイングを心がけたことで、150ヤードの距離を打てた。「スイングを抑えても途中で緩めないことがポイントです」。大会アンバサダーとして4日間見守った宮里藍も岩井のハーフショットに驚いていた。「今大会ではかなり多用していましたが、プレッシャーがかかると精度が落ちるのに、岩井さんのハーフショットにはそれが見られなかったです」と太鼓判を押す。

 JLPGAツアー記録の4日間24アンダー(パー72)を更新することはできなかったが、全力を尽くした結果として、悔いはない。今回の優勝で、AIG全英女子オープンの出場権を得たが、ロレックス ランキングが50位以内に入ることも確実視されている。その結果、7月末に開催される海外メジャー・アムンディエビアン選手権の出場も見えてきた。全米女子オープンも加え、将来、海外ツアーを目指す岩井にとっては、何物にも代えがたい経験を重ねられる夏になりそうだ。

(JLPGAオフィシャルライター・山西 英希)


<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

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