2023.11.15
前人未到の2年連続平均ストローク60台に挑む山下美夢有
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
JLPGAツアー2023シーズン第37戦『第42回大王製紙エリエールレディスオープン』(賞金総額1億円/優勝賞金1,800万円)が11月16日、愛媛県松山市・エリエールゴルフクラブ松山(6,575ヤード/パー71)で開幕する。15日はプロアマトーナメントと囲み取材が行われた。
順位に応じて試合ごとにポイントが加算されるメルセデス・ランキング、獲得賞金額の積み重ねである賞金ランキングとはひと味違うが、平均ストロークにもその選手がシーズンを通してどのような戦い方をしてきたかが数字になって表れている。たとえスタートで出遅れようとも、最終日に優勝争いに加わっていない試合であろうとも、最後まであきらめず、1打でもいいスコアで上がろうとする。そのような気持ちがなければその数字を縮めることはできない。ましてや70を切ることなんて不可能だろう。
昨シーズン、山下美夢有の平均ストロークは69.9714だった。19年に申ジエが記録した69.9399に次ぐ史上2人目の60台だ。そして今年、申が達成できなかった2年連続60台に山下が挑戦しようとしている。2試合を残したところで69.4440と、チャンスは十分ある。それどころか、申の記録を抜いてJLPGAツアー史上最少平均ストロークを樹立することさえあり得る。
ただ、山下自身はそのことについてあまり興味がないようだ。「へぇ・・・」と、まさに他人事のような反応を見せる。平均ストローク以前に現時点ではメルセデス・ランキング1位に君臨。昨年も1位となっているだけに、今年もその座を守れば、15、16年のイボミ以来の2年連続年間女王となる。そちらの方を重視しているのかと思いきや、意外とそうでもない。「最近はホンマに自分のプレーができていないので、残りの試合では楽しみながら自分のプレーができたらいいなという感じです」と、記録よりもまずは自分が納得するプレーを心がけているとのこと。
確かに、数字的にはよくても、結果を見ると6月第2週のニチレイレディス以来優勝はない。しかも直近2試合の結果は27位タイ、33位タイとらしくない成績が続いている。その原因はパッティングにあるとのこと。実際、その2試合では短い距離を外すことが少なくなかった。「悩み過ぎているというか、いろいろと考えてしまっていることがプレーに影響が出ているのかなと。特に最近は考え過ぎているので、私らしく思い切ってプレーするだけです」と気持ちを切り替える。練習ではできていることが、試合ではできていないだけに、メンタル面の問題が解決すると一気に良化する可能性は大きい。
とはいえ、昨年の5勝に続き、今季も4勝を挙げている事実は変わらないし、山下が常に目の前の1打に集中してきたことも誰もが知っている。どんなときでも100パーセント以上の力を発揮して戦ってきた山下。2年連続年間女王だけでなく、2年連続平均ストローク60台をぜひ達成してほしいものだ。
(JLPGAオフィシャルライター・山西 英希)
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