2024.9.15
美夢有 3戦連続2位「まとめるだけでは優勝できない」
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
第55回住友生命Vitalityレディス 東海クラシック 新南愛知カントリークラブ美浜コース(愛知県)最終日
2年連続年間女王の山下美夢有は、3日間を通じてノーボギーで回りながら、またもや今季初勝利を逃した。「調子自体、最近はあまりいい感じではありません。ショットが曲がっていて、バーディーチャンスに着く回数が少ない。調子が悪いなりにまとめることはできていますが、それだけでは優勝はできません」と苦笑を浮かべる。「とりあえずショットを直して、来週につなげられるようにしたいです」と気持ちを切り替えた。
単独首位で最終日をスタート。第2日までのパッティングの安定感から見れば、2打差の菅楓華はともかく、4打差をつけていた岩井明愛に逆転されるとは思えなかった。山下自身、1番でいきなり5メートルのバーディーパットを沈める好スタート。ところが、その1番から3連続、前半9ホールだけで5バーディーを奪った岩井明の爆発力に屈した。
とは言え、岩井明と追いつ追われつの名勝負を展開。1打リードされて迎えた最終18番パー4。運命の第2打を放った瞬間、思わず右手をクラブから離し、ボールはグリーンをとらえながらも、ピン右6メートルと思ったよりも距離を残した。プレーオフを懸けて強めに打ったバーディーパットは、あえなく2メートルオーバー。パーパットをねじ込む意地を見せたが、パーセーブした岩井明を捕まえ切れなかった。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
これで出場3大会連続、実に今季7回目の2位である。7月21日最終日の「大東建託・いい部屋ネットレディス」では24アンダーまで伸ばしながら28アンダーの川﨑春花に敗れ、前週の「ソニー 日本女子プロゴルフ選手権大会」では18アンダーをマークしながら竹田麗央に1打及ばなかった。
父でコーチ役の勝臣さんは「少しだけ力んでしまい、その分振り遅れることが多い。最終18番の第2打もそうでした。やはり、早く優勝したいという気持ちがそうさせるのでしょう」と反省点を挙げる。その上で「竹田さんにしろ、岩井明愛さんにしろ、飛距離が出る選手なので、曲がらない時は強い。そういう2人と2週連続で対等に優勝を争えたのですから、立派だと思います」と娘を労わった。150センチの小柄ながら、磨きぬいた技術でパワーに対抗する姿は感動的だ。
第2日に応援に来てくれた弟・勝将さん(近大4年)は、16日に男子プロゴルフ「パナソニックオープン」のマンデートーナメントに出場するため、最終日には姿を見せなかった。妹の蘭さん(奈良育英高2年)も、来週に大会を控えているという。きょうだいの奮闘に刺激を受けながら、山下自身、次週こそ今季初勝利を手にして見せる。
(宮脇 廣久)
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