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2016.3.13

魅せた 燃えた 勝った!! イボミが今季初V

<Photo:Atsushi Tomura/Getty images>

 2016年LPGAツアーの第2戦『ヨコハマタイヤゴルフトーナメントPRGRレディスカップ』(賞金総額8,000万円、優勝賞金1,440万円)は13日、高知県香南市の土佐カントリークラブ(6,217ヤード/パー72)で最終日が行われた。勝負は通算8アンダーで並んだ、柏原明日架、飯島茜、イボミの3人が、サドンデスのプレーオフへ。4ホールに及ぶ激戦を制したのは、イボミだった。また、今大会は 2012年から5年連続のプレーオフ決着。同一トーナメント最多連続プレーオフ回数新記録となった。(天候:曇り 気温:12.8℃ 風速:0.7m/s)

 強くなればなるほど臆病になる。表現は適当ではないかもしれないが、スーパーアスリートは総じてそんなタイプが多い。「もう勝てないかもしれない」。そんな恐怖が常に頭を離れない。だから、見えないところで人一倍の練習を重ね、これ以上はないと思うほどの準備を行う。イボミもそうだった。プレーオフ4ホール目でバーディーを奪い、優勝が決まった瞬間の第一声が、「私、本当に勝ったの」。それだけに優勝会見では、「まだ信じられない」を連発して、感極まった表情ものぞかせた。

 柏原、飯島に1打差をつけられた18番。ティーショットを右ラフへ曲げてしまう。正面には木がそびえ、つま先上がりのロケーション。絶体絶命のシーンが訪れる。ところが…。ピンチをチャンスに変えてしまった。残り134ヤードの第2打で選んだのは8I。それも、インテンショナルスライスで、グリーンを狙うルートだけだ。「フェース、体もオープンにして、ヘッドをリリースしない。練習? したことがなかった。でも、絶対にできる、と自分へ言い聞かせ、チャレンジした。風にも助けられたし、あのショットは2度とできません」と解説している。勝利への執念が込められたボールは、カップをかすめて、カップから30センチでピタリと止まり、楽々とバーディー。プレーオフへ進出した。そしてウイニングパットも、まさに技あり。「距離は5メートル。下りのフックのラインでした。今日は、この距離が全く入っていなかった。それでも、下りのパッティングは私が得意。だから入ると言い聞かせながら気合を込めました」という。振り返ってみれば、2012年の今大会で日本ツアー初優勝。「あの優勝がなかったら、今の私はなかったでしょう。プレーの合間に、12年の思い出がよみがえってきた。今回は運もあったし、この大会には本当に縁があると感じています」と、しみじみと語っている。

 さらに、こんな舞台裏も明かした。第1日、同組でラウンドした原江里菜への感謝だ。疲れているような印象を受けたイへ、エールをおくったという。「私も体がつらい時がある。でも、頑張っていいプレーをしないとね。ボミが笑えば、みんながうれしいのだから」。

 昨シーズン、悲願の賞金女王へ輝いた。ただしイの関係者が心配したのは、目標を達成したことによる、燃え尽き症候群。とはいえそんな不安を吹き飛ばすほど、今オフは練習熱心になったそうだ。「今年は、皆さんが賞金女王という目で私をみるでしょう。もし勝てなかったら…。そう思うと、いくら練習をしても足りない気がした」と。今季の目標を改めて、「3勝はしたい。かといって、賞金女王は今のところ頭にありませんよ。だけど、きょうの優勝で、オリンピック出場の可能性が出てきた」と、ごく控えめに話した。慢心や過信とは全くの無縁。リオデジャネイロ五輪出場を目指して、ひたすら精進を続ける。なぜなら優勝を経験すればするほど、1勝の難しさ、重みがズシリと全身にのしかかってくるからだろう。イは勝利の求道者となった。

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