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2017.3.5

怪物が呼び覚ましたアンのV 笑って泣いて春が来た

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 2017年LPGAツアー開幕戦『ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメント』(賞金総額1億2,000万円、優勝賞金2,160万円)大会最終日が沖縄・南城市の琉球ゴルフ倶楽部(6,617ヤード、パー72)で行われ、アンソンジュが通算6アンダーで、逆転優勝。初Vを狙った川岸史果は76と崩れ、1打差の2位に終わった。通算4アンダーの3位タイはイボミ、大城さつき。(天候:晴れ時々くもり 気温:21.1度 風速:5.1m/s)

 勝利への執念を呼び覚ませたのは、川岸史果の奮闘だった。「すごかった。私の22歳の時の雰囲気がある。プレーはアグレッシブで、飛距離がすごい」。アン ソンジュが日本ツアー初Vを飾ったのは、2010年の今大会だった。まるで黒船来襲のように、開幕戦で楽々と優勝をさらっている。「あの時は日本のことが全くわからない。勢いだけで勝ってしまった」と振り返った。以来、日本ツアー通算22勝。3度の賞金女王に輝いた。

 首位タイで迎えた18番。「バーディーを獲るには、上りのラインをしっかり残す作戦でした」という。しかし、ピン手前6メートルをねじ込むのは至難の業だ。ところが、これをきっちりと決めた。涙があふれる。ここ2年間の苦悩が次々に浮かんできた。頸椎ヘルニアを発症して、思うようなプレーができない。何度も、「引退がよぎった」と明かす。

 今オフは、「試合に出ることが最優先」と方向転換。打ち込みを大幅に減らして、フィジカルトレーニングが中心だった。「ヘルニアが完治することはない。一生つきあっていかなければ…。でも、足や腰、背中へ柔軟性をつけ、可動域を広げることで、症状は緩和できる」。テクニックはピカイチだ。問題は精神面。そこで、「今年は、どんなことがあっても、笑みを絶やさない」と誓った。

 1日目の10番、自らの打球が木を直撃。跳ね返ったボールがアンに当たって、1打の罰となった。「ゴルフを始めて、初めての経験。ただ、まだ残りのホールがあるし、くさらずに笑いました」。まさに笑門来福である。そんな出来事から、忘れられない通算23勝目。こうなると、早くも4度目の賞金女王の話題が浮上する。「まだ、1試合だけです。残り37試合もある。それから、賞金女王は、なりたいと思っても、なれるものではない」とピシャリ。

 最後にアンにとっては、よほどインパクトがあったのだろう。川岸へのエールを。「経験を積んでいけば、すごくうまくなる。彼女のゴルフがとても気になります。風に負けないドライバーショットが、うらやましい。いつも15ヤードは置いて行かれます。ファンになってしまった」と真顔で話した。

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