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2017.12.1

1st day プラスワン~鈴木愛~

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
 そして、少女は女王に。9年の歳月が過ぎていた。今大会最終日のフォアサムマッチプレーで、鈴木愛は上田桃子とペアを組む。日本の命運を握る最強コンビである。

 初対面は、フランスだった。エビアンチャンピオンシップジュニアカップに出場した14歳の鈴木は、若き女王・上田と出会う。「覚えています。小さな女の子でした。一緒に記念撮影をした記憶がある」。プロになる-しっかりとした決意が芽生えたのは、この日だった。ゴルフに対する意識まで変わる。「人がオーラを出すということが、初めてわかった。上田さんは、ものすごくまぶしい。私は緊張して、言葉が出てこなかった。だけど、うれしかったです。上田さんのようになりたいと感じました」と、鮮烈な印象を語った。人生のターニングポイントといえば、間違いなくここだ。

 レギュラーツアー初出場を果たしたのも、このシーズンだ。大王製紙エリエールレディスオープンで再会し、今度は自身が、「フランスでお会いした鈴木です」と駆け寄ってあいさつ。今季、念願の賞金女王、LPGAメルセデス最優秀賞の2冠を獲得した鈴木には、そんな思い出がある。「賞金女王は、25歳ぐらいで-と予想していた。シーズンの最初から特に意識はしていない。当初の目標?  THE QUEENSの代表になることでした。それも、去年から、上田さんと組みたい。その気持ちを、ご本人にも伝えて、自分の支えにしてきた。タイトルをとることができたのは、上田さんのおかげです」と明かす。思い込んだら一途。上田の調子がいまひとつの際は、「あの約束が叶うように、よろしくお願いいたします」と必死だった。

 今週29日、コースでは鈴木が上田とコンビを組んで、フォアサム、2ボール方式の練習ラウンドを行っている。相手は、西山ゆかり、川岸史果組。「9ホールの真剣勝負。私たちは、ボギーがひとつもなし。上田さんはショットメーカーで、しかもアプローチがすごく上手です。私はパッティングで貢献しました。とてもいい感じ。うれしかった。中学生から思い描いてきたことが叶ったわけですからね」と満面の笑みをたたえた。

 ただし、満願成就とはいかない。あくまでも日本代表が優勝しなければ、喜びも吹き飛んでしまう。13日の開催記者会見で成田美寿々は、2人をエースと呼び、「最強のコンビ」と話した。が、この日はバランスを考慮して、別の選手と組むことに。最強コンビは、運命の最終日、日本の切り札となる。「上田さんと合体すれば、世界一になれます」と断言した。

 ちなみに、エビアンでの2ショットは、香川にある、祖母の実家に宝物のように飾られている。賞金女王が、賞金女王を育てた、ちょっといい話を耳に。聞いたこちらまで幸せになった気持ちがする。


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