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2015.8.23

ショットでつかんだ復活V 服部真夕の新たな船出

<写真:Chung Sung-Jun/Getty Images>

 2015年LPGAツアー第23戦『CAT Ladies』(賞金総額6,000万円、優勝賞金1,080万円)の大会最終日が8月23日、神奈川県箱根町の大箱根カントリークラブ(6,701ヤード/パー73)で行われた。2位からスタートした服部真夕が、5バーディー、1ボギーの69をマークし、通算14アンダーで逆転優勝。3年ぶりのツアー5勝目を飾った。4打差の通算10アンダー、2位タイにディフェンディングチャンピオンの上田桃子、2週連続優勝を狙ったテレサ・ルー(台湾)、金田久美子、ペヒキョン(韓国)の4人が入った。(天候:晴れ時々曇り、気温: 25.9℃、風速:2.4メートル)

 復活は本物だった。ウイニングパットとなった3mのパーパットを沈めると、ゆったりと大きくガッツポーズ。「やりとげた感がすごいあったので、涙は出なかったですね」と3年ぶりの優勝にも涙はない。強い強い服部真夕の復活を、強烈に印象付ける3日間の戦いだった。

 「追いかける立場の方が良い」とスタートした最終日だが、その目論みはあっさりと外れる。前日にイーグルを奪った「イメージの良い」1番パー5(470Y)で、イーグル逃しのバーディー発進。「もう一つ獲っていこう」と気を引き締め直し、迎えた2番パー4でも連続バーディー。スタート2ホールで「追いかける立場」から「追われる立場」に逆転する。しかし服部の緊張は緩まない。「〝追う立場、追う立場〟とやっていました」と冷静にパーを重ねていく。「あれが大きかった」と優勝のカギにあげたのが、9番パー5のパーセーブだ。3打目をグリーン奥のカラーに外してしまい、2段グリーンの一番手前に切られたカップまで、25mの距離が残る大ピンチ。しかし「カップに寄せるというよりは、グリーンに止めていくイメージで」と、カップ4mオーバーに抑え、パーパットをしぶとくねじこみ、ギャラリーからも大きな拍手が。「パーが来るのと、ボギーが来るのでは大違い。あそこは大きかったですね」と本人も振り返る、流れを決めたホールだった。

 優勝会見では、「ここに戻って来られるなんて夢みたい」と喜びを表現したが、それは決して大げさなものではない。開幕戦では42位に入ったものの、そこから悪夢の9試合連続の予選落ち。原因は生命線であるショットの不調だった。2年ほど前から「軽いイップス状態」とアプローチが不調に陥っていたが、その悪影響がショットにも表れたという。「どうしたらいいか分からない状態」の中で、「岡本さんに甘えていて、自分で考えることをしていなかった」と、ついには師事していた岡本綾子からの独り立ちを決断した。

 トンネルの出口は、『ほけんの窓口レディース』の練習場で見つかったという。キャディーにスタンスの向きをチェックしてもらうと、目標よりも右を向きすぎていることが分かった。「150ヤードを打つとしたら、1ピン以上右を向いていました」。出口が見つかると、そこからの復活は早い。9試合連続予選落ちを喫した『ワールドレディスサロンパスカップ』の時は、66位に沈んでいたパーオン率が、今大会終了時点では12位までアップ。「今はショットに自信が持てています」と語るように、ショットの復調に裏付けられた、今日の復活優勝だった。

 96位に沈んでいるリカバリー率が示す通り「アプローチになったらどうしていいか分からなくなる。いつ治るか分からない」と、もう一つの悩みの種には、まだ出口は見つかっていない。しかし「お付き合いをしながらやっていきたい。アプローチがダメでもショットでカバーすればいい。それでも勝つことが出来る」と自身のゴルフに胸を張る。「たくさんの方に支えられて勝つことが出来ました。岡本さんにも今までお世話になってたくさんのことを教えていただいた。こういう風に結果を出せたので、感謝を伝えたい」と周囲のサポートと恩師に頭を垂れた服部の復活劇は、まだまだ始まったばかりだ。

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